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池坊南米支部=創立から半世紀祝う=家元が来伯、伝統伝える=花展に多くの市民が訪れ

ニッケイ新聞 2010年9月1日付け

 池坊華道会南米支部(島野蝶子支部長)の創立50周年を祝う式典が8月27日夜、サンパウロ市文化センター(Centro Cultural de Sao Paulo)で盛大な開会式が行われ、約100人が出席した。日本からは家元専永宗匠も来伯し、共に節目を喜んだ。28、9の両日は、同会場で記念花展も開催され、多くのサンパウロ市民が生け花芸術を堪能した。28日には、家元によるデモンストレーションがあり、愛好家ら約200人が伝統の技にため息を漏らした。

 式典では、家元専永宗匠と大部一秋在聖総領事夫妻の花展会場のテープカットが行われ、伯日両国の国歌、池坊の歌斉唱があった。
 島野南米支部長が「ここまでこられたのは、先代支部長たちの絶え間ない努力のおかげ」と述べ、会場に呼びかけて黙祷を捧げた。
 専永宗匠は、50年の歴史を振り返り、「これからも池坊華道の心を伝承してほしい」と同支部の繁栄と発展を願った。
 大部総領事は、「ブラジルは美に敏感。生け花という花の美に関心を持たない訳はない。生け花がブラジル民に広く浸透しているのは、日伯の友好関係が良好という証」と祝辞を送った。
 池坊生け花を永年支えた会員に送られる功労敬老賞が家元より手渡され、金沢イシさん、内田みねさん、加藤幸子さん、鈴木幸子さん、尾崎多美子さん、有木美須枝さんら受賞者らは、感激の面持ちを見せていた。
 受賞者を代表し、加藤さんは、「創立以前から池坊生け花に感銘し本を頼りに生け花を始めました。身に余る光栄」と謝辞を述べた。
 50年記念楯も家元から島野支部長へ手渡された。また賛助として花展用にパラナ、橘、ブラジル3支部から各一瓶が提供された。
 南米支部歴代支部長と現支部長らが壇上にあがり、50周年を祝うケーキカットを行い、会場から大きな拍手が送られ、パーティーへと移った。
 大きな木の枝を用いて生けられた家元の作品に来場者の多くが見とれて、シャッターを押す姿も見られた。
 会場を訪れたヴィタウ・エリアスさんは、「6年前から生け花の展示会に参加している、いつも綺麗で惚れ惚れする」と感心していた。

家元の伝統技に200人

 文協ビル貴賓室で行なわれた家元によるデモンストレーションには、約200人が、熱い視線を送った。
 家元は、生け花の思想や技術を軽妙な口調で説明、真剣な眼差しでメモを取る参加者も見られた。続いて、野田学・特別派遣教授による礼式生けも行なわれた。
 USPの池坊教室で今年から勉強しているというワンダ・ペレイラさん(66)は、「ブラジル人は色々飾り立ててしまうけど、わずかな花でこれだけのを表現するのは凄い」と笑顔で話していた。

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