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世界の福岡県人がブラジルに=サンパウロ市で第7回世界大会=8カ国から100人超訪れ=麻生知事「活動の継承を」

ニッケイ新聞 2010年9月2日付け

 ブラジル福岡県人会(南アゴスチンニョ俊男会長)は8月27日から29日にかけ、3年ごとに行われている福岡県人会世界大会をサンパウロ市の客家会館で開催した。今回で7回目。母県から麻生渡知事、林裕二県議会副議長、議員、家族会会員、世界8カ国15県人会から100人以上が参加し、今後の県人会運営、子弟教育等について討議するとともに、親睦を深め合った。

 大会初日は開会式、福岡県紹介DVD、来賓紹介の後、各県人会の代表者らが壇上に立ち、それぞれが挨拶。夜には歓迎晩餐会が催された。
 28日午前、若者らによる「青年の集い」が行われ、11の県人会が各国の青年部の活動を紹介、今後の事業展開が話し合われた。
 午後の合同会議では、各県人会代表者による活動報告後、青年の集いの報告として、県費留学生制度における日本語能力検定の取得、日本側の保証人の有無などの条件が壁となっているという指摘があり、応募資格の緩和、短期の語学研修を要望する意見が出された。
 また、県人会の若い世代同士の情報交換のため、インターネット上で「福岡県人会」のページを作成し、各県人会の活動を自由に掲載できる環境を作っている事などが紹介された。
 議題が後継者育成事業に移ると、前回大会(2007年)での麻生知事の提案から始まった「海外福岡県人子弟招へい事業」について、「もっと大人になった人たちを日本に行かせたほうがいいのでは」といった意見も出たが、一方県側は「小さいときに福岡を憧れの地として意識に植え付けたい」とその意義を説明した。他の出席者からは、「子どもが行って生き生きして帰ってきた。そこで親の県人会への意識も変ってきた」といった発言もあった。
 「福岡をもっと近く感じたい」として、県が20~25歳ほどの若者を派遣する「青年部フロンティアプログラム」の受け入れを各国で進める意向で、送り出しの継続が要望されたほか、役員の若返りの必要性について意見交換がされた。
 講評を述べた麻生知事は、「課題は有意義な県人会活動の世代間の継承」とし、県費留学、招へい事業の継続を明言。いかに県から世界へ人を送り出すか検討の必要性があるとし、今後は日本語を学習する機会を整備する意向を示し、「世界での日本の理解を深めたい」とした。

ネットで連携・交流を=「福岡県人は兄弟」

 最終日夜に設けられた「さよなら、また会いましょう」晩餐会では、芸能披露があり、ミカ太鼓の演奏、博多どんたくなどが披露される中、歓談が弾んだ。
 コロンビアから一人参加した倉富ウーゴさん(33)は「他の県人会の発表を聞いて参考になった。やれそうな事もいくつかあった」と満足げ。同地では日本語、文化に対する高まりで昨年に比べ会員が増加したと言う。
 バンクーバー(カナダ)から参加した猪越美加さん(30、2世)はインターネットでの県人会交流を呼びかけた。「言葉に壁があっても、写真なら伝わる。色んな写真を載せたい」と祝賀会中も何度もシャッターを切っていた。
 宴もたけなわ。知事含め、列席者が手を繋ぎ、「ふるさと」を合唱。
 閉会の挨拶に立った南会長は、「世界の県人たちとアミーゴになった。どこにいても福岡県人は兄弟」と高らかに述べた。
 会議の席上、次回2013年の世界大会を福岡県で開催することが決まった。「また3年後ね」といって別れを惜しむ姿が会場の所々で見られた。

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