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聖南西=地域を超えた日語校交流=汎パウリスタで区域外研修=ツパン、バストスの学校訪問

ニッケイ新聞 2010年9月11日付け

 聖南西教育研究会(渡辺久洋会長)の区域外研修が8月27、28両日に実施された。これまでノロエステ地区やマリンガ地区などを訪れており、今回初めて汎パウリスタ地区を訪問。地区内の日本語学校教師19人と文協役員5人がツパン、バストス両市の日本語学校を訪れ、授業見学や質疑応答を行なった。

 同研修は国際交流基金の「さくらネットワーク」の支援のもとで実施されているもの。同研究会が毎年1月に行なう教師合同研修会とは別に、地域外の日本語教育や日本語学校の様子を知り、新たな教育方法や技術などを学び、地域を超えた日本語学校及び教師と交流して繋がりを築くことを目的に数年に一度行なわれている。
 26日夜に聖南西地区を出発した一行は、7時間かけ最初の目的地ツパン文化体育協会に到着。午前中はツパン日本語学校付属ひかる幼稚園の授業見学と質疑応答を行った。
 授業では同幼稚園教師の吉川ラウラさんが日本語のみで行う直接法を用いて授業を展開しており、幼稚園児16人に対しエネルギッシュでテンポのいい活動を次々に行っていった。
 園児たちは1時間半の授業の間、ずっと元気に歌ったり踊ったり答えたりし、教室からは園児や先生が話す日本語が途切れることなく聞こえてきた。見学した教師はその授業の様子に驚くとともに大いに刺激を受けた様子だった。このほか、同校教師青木春美さんに学校の説明を受けながら教室を見学した。
 午後からはバストスへ移動し、はじめにバストスバンビ学園の授業見学を行なった。
 教師歴28年の同学園の水馬京子さんは、昨年から生徒自らが学習を管理するチュートリアル法を取り入れ、2才から5才の幼稚園とそれ以上の年齢の生徒からなる日本語学校を助手の補助を入れつつ一人で行なっている。3時間近い授業の間、工夫された時間割や授業法をもとに授業が展開されていった。
 続けてバストス文協所属の同日本語学校の授業見学を行った。
 3つある教室のうち、この日は一つの教室を使って行われていた河内みちえ教師とJICA青年ボランティア25回生青木香織さんの授業を見学。今月に行われる汎パウリスタ地区お話大会に向けた練習も行われており、暗記した作文を間違えずに最後まで読み終えた生徒からは笑顔が見られた。
 授業後は同校の相原貴余志教諭も交え、バストスの両校に対する質疑応答が行われた。
 夜は同文協役員の宇佐美宗一さんが経営するホテルで宿泊。28日は午前9時より両地区による懇談会が行われた。
 第一部は両地区の概要や地区行事などの活動を紹介し、両地区で行われているお話大会を中心に情報交換が行われた。また、汎パウリスタ地区の日本語学校は数年前に大幅に参加校が減って現在は8校が教師会に加盟しているという報告もあった。
 第二部は文協役員と教師に分かれたグループディスカッション。教師側はさらに4、5人ずつのグループに分かれ、それぞれのグループで自由に話し合いが行われた。悩みや問題点などを中心に話し合いが行われ、情報交換するとともに教師同士の交流を深めた。
 参加教師からは、このディスカッションでじっくりと話し合うことができ、それらを地区を超えた教師達で共有できたことも大きな成果だったという感想が聞かれた。一方、文協役員側では日本語学校の活性化について活発な意見交換会が行われた。
 最後に渡辺会長から「この研修によってできた繋がりが両地区の日本語教育の発展につながり、そこから今後のブラジルの日本語教育の発展につながっていってほしい」と願う声があり、研修の日程を終了した。
 参加教師からは「日頃ほとんど機会のない他校の授業見学ができてとてもよかった」「状況が異なる地区との交流は、違う日系社会に触れることができて、本当に勉強になった。また一泊二日という長い時間を聖南西地区の先生方や文協の方と一緒に動く中で、普段とは違ったお話を聞くことができたよい時間だった」との声が聞かれ、様々な面で実り多い研修となった。

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