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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年10月8日付け

 3日の統一選挙で〃勝った〃のはマリナ候補のようだ。アウキミン候補優勢のサンパウロ州知事選で、PTは相手票を割るために身内から産業界に明るいスカッフィ候補、元アナウンサーのロマノ候補を立てたといわれる。その結果、アウキミンは50・62%という1%に満たない僅差で辛勝した。票を割られてもギリギリ過半数を維持した▼逆の展開になったのが大統領選だ。過半数を超える大方の予想だったジウマ候補は46・28%の得票と、わずか3・72%に泣いた。しかも2年前まで閣僚仲間だったマリナ候補に票を奪われた▼PSDBがいくらジウマ攻撃をしても、拒絶票率の高いセーラ候補の票は増えず、その分、潔癖かつ新鮮な印象のマリナ候補に票が流れ込み、過半数割れを起こさせた。この状況が、マリナという〃顔〃を得た弱小政党・緑の党(PV)に、本人たちも驚く2千万票をもたらした▼グローボTVのコメンテーター、アレシャンドレ・ガルシアは、「毎年5万人が殺人事件で死んでいる。この状況を許すのは毎日飛行機が落ちているのに、見て見ぬ振りをしているのと一 緒だ」と訴えた。確かに1日当り約137人が殺されており、これは下手な戦争より酷い数字だ。決選投票までの選挙運動では、ぜひ焦点してほしい問題だ▼マリナ票とセーラ票を単純に足せばジウマ票と競る状況だが、問題はセーラへの拒絶票率の高さだ。もしPVがPSDB支持を表明したととしても、マリナ票はそのままセーラ候補に流れない。31日の決選投票までに、セーラへの拒絶票率を和らげるイメージ戦略が打てるかどうかが焦点になるようだ。(深)

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