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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年10月12日付け

 昨年、オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したのには、正直に言ってびっくり仰天したものである。いや、佐藤栄作元首相のときには「なぜ佐藤さんに」と驚きいったが、今、振り返ってみると、あの頃は血気盛んではないが、若かったのだな―と猛省することしきりである。佐藤首相には「非核3原則」という高邁なる理想を政治の現場に持ち込んだ功績が大きいし、オバマ大統領には「核兵器のない世界」の夢がある▼このお二人は「核兵器」で名誉ある受賞となったのだが、今年は中国の民主活動家・劉暁波氏に決まった。あの天安門事件に関り、中国の民主化を進めるためにと同士ら303人と連名で「08憲章」を発表し、共産党と政府批判に命を掛けた人である。今は「国家政権転覆扇動罪」に問われ服役中ながら、平和賞委員会は、中国外務省の傅瑩次官から強い抗議を受けたれども、これを無視しての平和賞となった▼ノーベル賞には化学や物理などもあるが、平和賞の選考はまったく別の組織が行う特別なものである。このためにかなり「政治色」の濃いものが発表されたりもする。1989年のチベット指導者・ダライ・ラマ14世への平和賞はその典型といっていい。中国からの抗議については、委員会が暴露し非難したけれども、こんな愚かな行動に走るほどにあの国の首脳らにとっては、民主化の動きは恐い▼産経新聞はこのニュースを「号外」で報道したし、オバマ大統領も「劉氏の釈放を」と呼びかけ、台湾の馬総統も「歓迎」である。独り中国だけが猛反対なのはおかしい。だが―世界の人々は大喜びなのである。(遯)

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