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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年10月15日付け

 県連、日本語センター、生長の家、大志万学院などあちこちでお話大会が行われている。子供たちが一生懸命に日本語をしゃべっている姿を見て、この努力や日本語能力が報われる社会であって欲しいと強く願った▼例えば進出企業が社員を採用する時、日本語能力をもっと重視することができないだろうか。以前、企業関係者から「しゃべるだけの日本語では業務で役に立たない。読み書きまでできれば是非とも採用したいが、そのレベルの人はなかなかいない」との嘆きを聞いた。確かにそうかもしれない▼でも企業側には、手間のかかる日本語教育の成果を一方的に享受するのではなく、そのような生徒がより多く育つように支援することも期待したい。日本語話者や日本文化愛好者が増えることは、広い意味での日本や日本製品の社会的地位にも強く影響する▼日系団体からも何か支援ができないか。日本語教師から「せっかく日本語を教えても使う場がない」という悩みをよく聞く。県人会などが率先して生徒と触れ合う時間を作り、子供たちが日本語を使う環境を作るのはどうだろうか。一緒にNHKの番組を見たり、歴史ドラマのビデオを鑑賞することも一興ではないか。現在の生徒は非日系人も多い。彼等にも等しく接することで一般社会への日本文化普及の一助にもなる▼大志万学院の4カ国語のお話大会を取材していて、現在の日本語教育はすでに多言語教育の域に入っていると感じた。多言語教育としての高い日本語能力を身に付けた人材なら、日系に限らずどんな多国籍企業でもノドから手が出るほど欲しいに違いない。(深)

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