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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年11月17日付け

 ジウマ次期大統領の当選と、文盲を疑われている最多得票を記録したチリリッカ次期下議の問題は同根だと思う。ジウマ候補を当選させた北東伯住民の圧倒的支持の多くが文盲や半文盲もしくは、テレビは見るが新聞を読まない層であることは様々な識者が指摘している▼テレビと新聞には本質的な相異がある。テレビという無料媒体は娯楽番組や歌番組もあり、会話さえできれば誰でも楽しめる。だが新聞を読むには何よりも読解能力と、論理的な文章を理解する思考能力、購読を続ける経済力が必要だ▼当国は憲法で投票を全国民の義務と定めているから、人口の10%弱を占める完全文盲も、30%弱の半文盲も投票する。半文盲とは、アルファベットを音読できるが文章の意味はとれない、論理的思考ができない人々だ▼当地において新聞を読む層は知的レベルの最上級に属する。だから、いくらフォーリャ紙などが政治問題を抉り出しても下層大衆には届かない。そして選挙の大勢を決めるのは常に新聞を読まない層だし、これがルーラ大統領の支持層の中核部分だ。これをジウマ候補に転移できたことが今回の勝因だ。セーラ支持派はインテリを中心とする層に限定されたのが敗因だった▼国民の4割近くが完全識字者でない国で全員投票するのだから、彼らの考えを代弁する文盲候補者が当選しても本当は何の不思議もない。むしろその層のセンスをよく分っているチリリッカだからこそ選ばれたといえる。エリートは「選良は文盲であってはいけない」と法律で決めたが、庶民には関係ない。格差社会であることが、この国の変らない本質だ。(深)

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