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河村議連幹事長が特別寄稿=麻生特使らと大統領の会談

ニッケイ新聞 2011年1月6日付け

 大統領就任式に出席するために来伯した麻生太郎特派大使(日伯友好議連会長<自民党>)、河村建夫同議連幹事長(自民党)、中井洽衆議院予算委員長(民主党)、黄川田徹衆議院議員(民主党)が1月2日午後1時からの30分間、ジウマ・ロウセフ大統領と会談した。なお三輪昭駐伯大使も同席した。
 河村議連幹事長が執筆したその時の様子を、以下の通り、本紙読者に公開することになった。当日のやり取りが手に取るように分かる緊迫のレポートだ。(編集部)
  ◎   ◎
 ブラジル初の女性大統領は、昨日の就任式を無事に終えたせいか、かなりリラックスした感じで、笑顔で我々を迎え入れた。
 まず大統領から、2005、2008年と二度日本を訪問したが、麻生には外務大臣、総理大臣として温かく迎えて頂いたことを感謝していると切り出した、すかさず麻生特使は、大統領就任に祝意を表すると共に、この大統領選挙を通して一段と顔が綺麗になられたとストレートな賞賛。大統領も喜色満面、自分も選挙で成長したように思うと。
【麻生】ブラジルは日本にとってとても大切なパートナー、共に力を合わせて行こう、例えば、アフリカのモザンビークでの農業支援による振興(日系人のブラジル農業発展の実績がある)のケースはモデルにして行きたいもの。
【ジウマ】日本にはブラジルの農業発展に大きな貢献がある。最近でも、新しく、デジタルテレビの日伯方式がある。南米ではほとんどの国がこの方式に同調してくれている。
 さらに、高速鉄道建設がある、日本に応札してもらいたい。一度延期したが4月には実施する。
【麻生】高速鉄道には大いに関心がある。但し日本のJRは民間企業だから、ブラジル側も民間の受け皿で協議しないと、今の条件では見通しがたたず、踏み切れない面があるのではないか?
【ジウマ】担当大臣に指示しておく。(この点は、先の入札の時、韓国を除いて、条件が厳しすぎて、日本を始めにフランス、ドイツも入札に応じなかったものである。しかし、改めて大統領自ら要請があった意義は大きい。果たしてこれまでの協議経過の詳しい報告がきちんと上がっているかが疑問であるが、不採算覚悟で応札するなら、韓国を見習い日本政府も政府保証までやるか、政治の決断のテーマとなる問題)。
 百周年の式典に訪日したときに約束してもらった、社会保障協定が締結出来たことに感謝する。
 これはお願いだが、国際食糧機関(FAO)にブラジルから事務局長に立候補するのでご支援を頼む。
 おおよそ以上のやり取りがあり、約30分の会談だった。大統領の通訳が英語で麻生特使の側で同時通訳、それを日本の通訳が日本語でこちらに要約する形であった。麻生特使はいっさい原稿なしだったが、大統領はメモリーカードを手元においての会談。
 だいたい首脳会談は、とくに依頼事項を持つ側が抜けがないようにメモを持つが、それを読み上げるようなことはない。終わると気軽に記念写真の撮影に応じてもらった。

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