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リオ=アレモン制圧から40日=犯罪者に活動再開の動き=住民2人の殺害事件を捜査

ニッケイ新聞 2011年1月12日付け

 リオの犯罪組織コマンド・ヴェルメーリョ(CV)制圧から40日が経過し、アレモン地区や隣接するヴィラ・クルゼイロに犯罪者らが戻り始めた。同地区には、昨年11月末の陸、海軍救援出動による犯罪組織一掃後も軍の部隊が駐留し治安維持にあたっているが、地域に戻った犯罪者たちはその目を盗んで麻薬取引を再開している。ヴィラ・クルゼイロでは住民2人の殺害事件も発生、市警は麻薬密売者との関連を調べている。一時平和が訪れたかのように見えたリオに、再度不安が広がる。11日付エスタード紙が報じた。
 陸軍作成の機密文書によれば、ファヴェーラ・ダ・ガリーニャでは、武装した麻薬密売者が、モトタクシーで軍兵士の動きを監視するほか、仲間うちで暗号を作るなど新たな手法で警備の目を盗み、麻薬取引を行っている。ファヴェーラ・ダ・ファゼンジーニャでも、カジーニャ、カンポ・ド・セウ・ゼなどと呼ばれる場所での麻薬取引再開が確認されており、他のファヴェーラでも同様の動きが起こっていると推測される。
 また、ヴィラ・クルゼイロでは1日に同区入口のジョゼ・ルーカス道で何発も銃で撃たれたジョゼ・アントニオ・デ・ソウザさん(61)の遺体が発見されたほか、昨年12月26日には、麻薬密売者の住居から物品を持ち出したとして、マリア・ドス・サントスさん(47)が暴行されて死亡している。リオ市警では、麻薬密売者の事件への関連を疑っている。
 ヴィラ・クルゼイロの住民らは、「丘のふもとは万全の警備が整っているが、ファヴェーラの丘の高い場所では、麻薬取引や密売者による脅迫があると聞いている」と証言。住民に対する麻薬密売者の暴力事件の報告も出始めている。
 一方、鎮圧以後、治安維持のために駐留している陸軍兵士の士気の低下も懸念材料。兵士らは新設置されたロープウェーのモーロ・ド・アデウス駅の一室で寝泊りしているが、犯罪者の写真が貼られた部屋にはマットレスがあるだけで、専用の食事場所なども確保されていないという。
 昨年11月の犯罪組織一掃作戦では、犯罪者37人が死亡、130人以上が逮捕されていた。

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