ホーム | 日系社会ニュース | ■ひとマチ点描■「お騒がせしました!」=強い治療薬には注意を

■ひとマチ点描■「お騒がせしました!」=強い治療薬には注意を

ニッケイ新聞 2011年1月15日付け

 「妻が亡くなった、朝家に集まって欲しい!」—。そう明け方3時に緊迫した連絡が入れば、誰だって喪服に着替えて慌てて駆けつける事だろう。誤ってそんなおかしな電話を年末、日系社会中に掛けてしまったというのは、県連顧問、文協評議員、愛知県人会名誉会長、日伯音楽文化協会顧問とコロニアで活躍する羽田宗義さん(85、愛知)だ。
 その朝、電話をもらい数珠を手に羽田さん宅に集まった日系団体関係者らは、出迎えた夫人を目の前にして口をあんぐり—。羽田さんは一人で大勢分の食事や飲物を用意し、テーブルにキャンドルを並べていたという。
 こんなおかしな行動を取ってしまったというのも、昨年11月に急性肺炎で亡くなった音楽の師塩田実さんを見舞いに行っていたことから院内感染し、その治療に副作用の強い薬を飲んでいたため、と本人は説明する。恩師の死に心を痛めていたところ、事務所で2、3度倒れて異変に気が付き医者に向かった。12月19日に行われたザ・フレンズ グラン紅白歌合戦には目まいと戦って出場していた。
 持参した肺のレントゲン写真を見せ、「右の肺が半分白くなっていたんだ」と指差しながら、「強い薬を飲みつづけて完全に頭をやられてしまった!」。薬のせいで気が狂ってしまったという羽田さんは変な事を口走るようになったという。病院での治療には付き添いもいたが、医者からは副作用の説明を受けていなかった。
 コロニアの知り合いや、藤瀬圭子さんにまで冒頭のように電話を掛けてしまったそうだ。肺が良くなり、薬の摂取を止め正常を取り戻した羽田さんは「ご迷惑、ご心配をおかけしました!」とお詫びに来社し、自身の体験から「院内感染、強い薬の利用にはくれぐれも注意を」とメッセージ。(裕)

写真=肺のレントゲン写真を持つ羽田さん

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