ホーム | 日系社会ニュース | 喜多郎の曲に歌詞付けて歌う=日系二世フランシーさん=アエロモッサから歌手へ=「障害者を支援したい」

喜多郎の曲に歌詞付けて歌う=日系二世フランシーさん=アエロモッサから歌手へ=「障害者を支援したい」

ニッケイ新聞 2011年1月21日付け

 ハリウッド映画の音楽を担当してゴールデングローブ賞作曲賞受賞(1994年)、2001年には米音楽界最高峰のグラミー賞を受賞した日本を代表するシンセサイザー音楽の作曲家、喜多郎から特別に曲の使用許可をもらい、日系二世のフランシーさん(芸名=本名非公開、42)=米国在住=が歌詞をつけて今年アルバムとして発表することになった。現在サンパウロ市でレコーディング中、いずれオーケストラの伴奏で発売記念コンサートを開く計画になっているという。アエロモッサ(客室乗務員)からの華麗なる転身で、歌手としての活動を本格化させている。

 喜多郎といえば、NHKスペシャル『シルクロード』のテーマ曲なども手掛け、サンパウロ市でもコンサートを2回以上行い、そのたびに高額チケットが飛ぶように売り切れる世界的な有名作曲家だ。
 フランシーの父は宮崎県出身、母は静岡県の純血で、日本語も達者なオザスコ市生まれの二世だ。90年代までヴァリグ航空のアエロモッサをしていた。00年頃、富士山麓であった喜多郎コンサートにファンとして行き、最前列で観賞、感激の余り楽屋に押しかけて初めて話をした。
 幼少時からクラッシクバレエを習っていた関係もあり、喜多郎の曲から「強いエネルギーと優しさを感じた。ただの音楽ではない」と確信したという。それ以来、喜多郎に何度か呼ばれ、親しく話をするようになったという。04年から米国ロスに在住し、音楽の勉強をはじめ、主に歌唱指導を受けている。日本では喜多郎と同じレコード会社からシングルCDも出したという。
 05年頃、前々から夢として抱いていた希望を喜多郎に伝えた。ダメ元で「歌詞を付けて歌わせて欲しい」とお願いしてみた。喜多郎はそれを聞いて、最初、黙り込んでしまった。
 ところが「どんな曲がいい?」と聞いてきた。「すでにある曲に付けたいのです」とほっとしながら応答したという。
 「とても心の広い方。笑わせてくれたりすることも」と喜多郎を評する。しかし関係者からは「そういう申し込みは多いが許可されることは極めて稀」と後から言われ「自分は運が良かった」と胸をなで下ろした。
 それから初アルバムの準備をはじめた。喜多郎作品の5曲(Estrella, Symphony of Dreams, Thinking of you, Koi, Silk Road)を含む、全12曲をブラジル人作曲家アミルソン・ゴドイ氏に歌えるように編曲を依頼し、1月から録音を始め今年中頃にはブラジル内で発売する予定だ。
 「父は交通事故で半身不随になりましたが、私が5歳の頃からパラリンピック(身体障害者五輪)の卓球選手として活躍していた。歌を通して、そういう人たちが一生懸命生きていくことのお手伝いがしたい。このCDの売上からそういう子供たちの活動に寄付するなどしていきたい」との熱い抱負をのべた。詳細は公式サイト(www.francisongs.com/FrancisongsSite/StellaHomeB3D.html)まで。

image_print