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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年2月5日付け

 八百長というのは、もともと相撲からの言葉であり、勝ち負けを先に決めて土俵でいい加減な相撲を取るのを意味する。その昔。碁の好きな八百屋の長兵衛がお得意さんの相撲の年寄り(親方)とよく盤を囲むが、いつも手加減して負けるように仕組んだことから生まれたのだそうな、だから—大相撲で八百長があっても、何の不思議もない。放駒理事長は「大変、憤りを感じる」と語るが、「ばか者」と叫びたいのは土俵が好きなファンの方だ▼それにしても、国技・大相撲の乱れ方は凄い。あの野球賭博では、北の湖理事長が辞任し、暴力団との繋がりが露見するなど余りにも不健全にすぎる。この八百長疑惑も、野球賭博の関連資料から見つかったものであり、警察庁は日本相撲協会を所管する文科省にご注進となったのだが、大臣や副大臣も大いに戸惑ったに違いない。放駒理事長も霞ヶ関にすっ飛んでいき「お詫び」したが。謝罪で済む問題でもあるまいに—▼こんな世紀のスキャンダルを警察では刑事事件としては扱わない方針という。いささかびっくりしたが、八百長を裁く法律がないのだそうだから、これはもう「なるほど」と納得するしかない。だが、これだけでは愛好家らは「承知」しまい。相撲協会は、きちんとよく調べ、いんちき相撲に関与した者は関取は勿論、親方をも解雇し追放するのが世間の筋というものである▼これまでにも、週刊誌などが八百長相撲の記事を掲載し話題になったが、親方らは「そんなものはない」の主張ばかりだった。もうそんな話は通らない。ここは先ず黒い土俵を掃いて清めることから始めたい。(遯)

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