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互いの思いを伝える事を大切に

 ブラジルには、日本では見かけない祝日や記念日が多い(日本にもあるのに知らないだけかもしれないが)。ちなみに、5月22日は「抱擁の日」(Dia do Abraco)だった▼アブラッソは抱擁とかハグなどと訳される。携帯ソフトで送られて来たメッセージには、抱擁が平安や愛、喜び、安心感などを与える事を記した上で、「私の抱擁を受け取って」と呼びかけるものや、ハートの絵の横に「傍にいる事は叶わないけれど、心からの思いを込めて」との言葉を添えたものなども含まれている。これらのメッセージを見てつくづく思うのは、ブラジル人にとり、抱擁は本当に自然なもので、日常生活に欠かせない愛情表現の一つだという事だ▼実は、22日朝、日本の知人が交通事故を起こし、車は大破したがケガはなく、誰も巻き込まずに済んだ事、現場近くの人達が親切に世話をしてくれ、方々に連絡も入れてくれた事などを知った。抱擁の日のメッセージを受け取ったのはその直後。加えて、末の弟さんの7周忌で納骨式と記念会をやったばかりだった事などを、真ん中の弟さんのメッセージで知った。皆に好かれる仲の良い兄弟だった事などを思い出し、駆けつけて一人一人に抱擁をと思ったが、地球の反対側では慰めの言葉を贈る事しか叶わない▼今年はなぜか、知人の親や娘が亡くなったとの知らせが続く。傍にいてあげたいと思っても、大半は離れた所にいたりして、メッセージを送る位しか出来ない。仕事などで、熱を出して苦しむ家族にも寄り添えない時同様のもどかしさを覚えつつ、傍にいる事の大切さや、常日頃から相手を心にとめている事などを伝える大切さを思わされた事だった。(み)

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