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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年3月3日付け

 もしかするとパンドラの箱が開いたのかも知れない――。エスタード紙はサルネイ上議親族の醜聞を中心とする上院疑惑報道に関して、裁判所から〃検閲〃命令を出されて以来、毎日「検閲215日目」という記事を欠かさず出している▼事情通に言わせれば「エスタード紙の力を持ってすれば、政治家を動かして判決をひっくり返すことができる。それをやらないで、わざわざ〃検閲〃を受けているのは何か思うところがあるはず」ということらしい。ならば同紙は10月の連邦選挙をめがけて何かを仕組み、読者の関心を継続させるために〃検閲〃を受け続けている可能性がある▼その発端かもしれない記事が2月25日付けエスタード通信だ。サントス市でDOPS(政治社会警察)の〃忘れられていた書類〃が「数日前に見つかった」とつつましく報じた。1943年から82年までの膨大な記録であり、反体制活動家ラマルカやマリゲラといった大物ゲリラの資料も含まれ、隠され続けた軍政時代の闇に光が差しこむ可能性がある▼翌26日にエスタード紙は、再選を狙っていたはずの現職のロメウ・ツーマ上議が、PSDBのサンパウロ州副知事シャッパに鞍替え出馬を示唆する記事を出した。因果関係は定かではないが、記事中にはあえて「元DOPS長官」の肩書きも出している▼偶然かどうか知らないが、同27日付け紙面の同文書発見続報のすぐ下には、ウイリアン・ウー連邦下議が法案作成した市民登録一元システムが犯罪撲滅に有効であるとの記事が。上議出馬を目ざし、清廉潔白で売るあの日系政治家だ。パンドラの箱は、やはり謎に満ちている。(深)

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