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〝人材サービス〟がブラジル逆上陸=フジアルテ=日系人を進出企業に紹介=新事業『ポロロッカ』で=日本語教育との連携も

ニッケイ新聞 2011年2月25日付け

 1月に事業を開始した総合人材サービス業フジアルテ株式会社(平尾隆志社長)=本社・大阪市=のパウリスタ事務所開設記念パーティーが18日夜、サンパウロ市のブルー・ツリーホテルで開かれ、日系進出企業などから約120人が参加する賑わいを見せた。かつて当地で「人材派遣サービス」といえばデカセギ訪日派遣会社であったが、逆に日本から〃本物〃の人材サービス業が上陸する時代になった。しかも優秀な日系人を進出企業に紹介するという。「人材サービスナンバーワンを目指す」と意気込む平尾社長自ら出席し、ブラジルで展開する新事業『ポロロッカ・プラン』の概要が説明された。

 来年創立50周年を迎える同社は、総合人材サービス業として人材派遣、紹介、製造請負業を営む日本の大手だが、デカセギブームが起きた1990年頃から日系ブラジル人の雇用も始めていた。
 08年の金融危機以降、在日ブラジル人の帰国が進み、日本進出企業が再びラッシュを迎えそうな勢いになっているのを受け、在伯の進出企業相手のサービスに比重を移すことになった。
 出席したある銀行業界関係者は、「日本企業は本当に人材不足」と喜ぶ。現地法人立ち上げから、管理職の人材派遣も行うという同社への期待が出席者から伺われた。
 平尾社長はあいさつの中で、「ブラジル経済の成長で日本企業の進出が進んでおり、優秀な日系人を活用することで日本企業が成功し、そこで活躍する日系人達が自己実現できることに役立ちたい」との展望を語った。
 同社はその事業を「ポロロッカ・プラン」と名付ける。ポロロッカとはアマゾン川を逆流する潮流現象。日本で就労等の経験を得た日系人がブラジルに戻り、活躍する姿をポロロッカの逆流のエネルギーに重ねて命名したという。
 資料によると人材派遣では、「日本企業で『ものづくり』と『管理手法』を学んだ優秀な日系ブラジル人」「ブラジルで就労経験のある日本人」「海外留学の経験ある優秀な日系ブラジル人」を紹介する。現地法人立ち上げ支援も行い、ブラジルに目を向ける企業の視察、進出、事業展開に至るまで広範囲に支援する考えだ。
 また現地法人フジアルテ・ド・ブラジルの宮崎健次郎社長は、「新たな取り組みが本格的にスタートするにあたり身が引き締まる思い」と所信を述べた。
 JETRO(日本貿易振興機構)サンパウロ事務所の澤田吉啓所長もあいさつで、同社の進出を「ジャストタイミング(時宜にかなった)」とし、JETROも同社から1人、派遣社員の紹介を受けていることを述べた。
 平尾社長は取材に対し、「ブラジル事業に全力を投じ、当地ナンバーワンの人材サービス業者になる」と意気込んだ。「日本では製造業への派遣が中心だったが、日本語が堪能な人材を育成、紹介していく」と日語学校との提携など日語教育への投資も行っていく。
 なお、同社は08年にもブラジル日本語センターが訪日就労希望者向けに開講する短期の日本語教育事業「速成塾プロジェクト」に1千万円の寄付を行った。ブラジルの宮崎社長は「来てみたら思った以上の(人材の)需要があった」と喜びの表情を見せた。

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