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「ブラジルから何かできないか」=心配する東北各県人会=電話が通じず焦り募る

ニッケイ新聞 2011年3月12日付け

 「電話が通じない。家族の安否が心配です」。東北出身者からそんな声が続々と寄せられている。グローボTV局が11日早朝から関連ニュースをぶっ続けで放送するなど、今回の大地震には異例の報道がブラジルでも行われている。
 最も被害の大きかった宮城県の中沢宏一ブラジル県人会長(67)は、大規模火災が起きた気仙沼出身。「心配で気が気でありませんが、幾ら電話してもつながらない。とにかく東北ブロックで何かできないか相談しています」と声を曇らせた。
 中沢会長は開口一番、NHKの被災映像を見た感想として、「高校生の時の、チリ地震の津波を思い出しました。あの時、気仙沼では海から何キロも離れた畑まで大型漁船が流されていたのを覚えています」と生々しく語る。今回の被害に関して、「余りに地震の規模が大きくて唖然としています。信じられない気持ち。朝から宮城県内の親族や知り合いに電話をしているんですが、全然通じません」と心配を募らせる。
 岩手県人会の千田曠曉会長(69)は、朝7時過ぎから県人会事務所に張り付いて、母県関係者に電話をかけ続けている。「朝6時におきてNHKのニュースで知ってから、ずっと電話をかけ続けているが全然通じません。東北ブロックでも何か対応をしなければと話をしています」と切迫した様子だ。
 岩手県人会では、08年6月に挙行された同県人会50周年式典の折りも、せっかくの来伯にも関わらず達増拓也県知事と高橋由一金ヶ崎町長は突然発生した岩手・宮城内陸地震対応のために式典前夜に緊急帰国したことがある。
 三陸海岸のほぼ中央に位置する岩手県山田町に姉が住む同県人会役員の藤村光夫さん(72、森岡出身)は、「夜中に起きてNHKを見ていたら、午前2時半過ぎから急に地震の速報が始まってビックリした。それからずっとテレビの前に釘付けになっている。観測史上最大の地震というので、気が気じゃありません」と心配の声をあげた。
 青森県人会の玉城道子会長(72、弘前出身)も、「名古屋に住んでいる娘から『大丈夫』と電話がきました。こっちから青森市の親族に電話をしていますが、つながりません。ですが静岡に住む親戚が青森に電話をかけ続けたら、一回だけつながり、安否が確認できたそうです」という。「何かをしないといけないと皆と話し合っています」。
 東北ブロックだけでなく幅広い日系団体が支援の呼びかけをする相談をしており、被災地の状況はもちろん、コロニアからの支援の動きからも目が離せないようだ。

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