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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月16日付け

 一体どこの口座に義捐金を振り込んだら良いのか——そんな疑問を抱く読者も多いだろう。東日本大震災の被害が甚大だった宮城、岩手、福島の各県人会および茨城県人会はもちろん、文協、援協、県連も口座を公開した。さらに日本の海外日系人協会も呼びかけ始めた。少なくとも計8口座あり、まだ増える可能性がある▼それぞれに自分の団体名で母県に送金したいという気持ちは痛いほどわかるし、いち早く始めたことは賞賛したいが一本化できなかった点は残念だ。本来は文協がリーダーシップを取って大同団結して取り組むのが筋だろう▼同様に、17日の犠牲者の初七日法要も文協大講堂と県人会館と2カ所となっている。「移民の日」もサンゴンサーロ教会、慰霊碑、文協大講堂と3カ所で行われているじゃないかと言われればその通りだが、特別な時だからこそ結束してやることに意味がある▼当地でも日本の政治の分裂状況を憂う声は多く、「地震を期に一致団結して国難に対応せよ」との意見を聞くが、日系社会自体はバラバラだ▼ブラジルメディアからの関心は阪神大震災の時よりも遥かに高い。もしブラジル人の犠牲者が出てくれば、さらに注目は高まるだろう。日系社会が核になって一般社会と共に寄付を集めるのが理想的な姿だ。04年の新潟中越地震への義捐金は、文協と新潟県人会らが中心となって組織した新潟中越地震救援委員会が日系社会からだけで20万レアル以上集めた。今回は間違いなくそれ以上だろう▼出だしは別々で動いたとしても、いずれどこかの段階で一本化するリーダーシップを発揮する人や団体が現われることに期待したい。(深)

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