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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年12月17日

 サンパウロ市パウリスタ大通りやルーベン・ベルタ大通りで16日朝、タクシー運転手達のデモ行進による交通渋滞が発生した。この報道で思い出したのは、サンパウロ市交通局長が11日、バス専用レーン内を走るタクシーがバスの効率的な運行を邪魔していると発言した件だ▼タクシー運転手達はこの発言後、車で通勤・通学する一般市民からも出ていた不満を代弁するかのように、バス専用レーン導入で一部地域では車の流れが以前より目に見えて悪くなったと反発。タクシー業界は専用レーンのせいで損害を蒙っているともぶちまけた。専用レーンに関しては、カロンなどの商店主達から車で来る買い物客が駐停車する場所がなくなり、売り上げが落ちた等の苦情が出ているともいう▼バス利用者にとっては所要時間が短くなるなど好評なバス専用レーンだが、一方に都合のよい対策が他方では不満を呼び起こす例はよくある。学校や駅の傍に横断歩道が欲しいという要請も車が頻繁に止められるという苦情に繋がりかねず、どのような対策を講じればどの位の効果が生じるかも含めた分析や判断にはバランス感覚が要求される▼市民の声を幅広く聞き、万人が納得する方法を考えるのは、言うは易く行うは難い。為政者は様々な要求が突きつけられる度に悩むのだろうなと考える一方、そのために選ばれたのだからしっかり責務を果たして欲しいとも思う▼タクシー運転手のデモの理由は報じられていないが、クラコランジアから追い出された麻薬常習者が市内各所に離散といった片手落ちを防ぐ対策が、専用レーンの場合も講じられてなかったのではと考えてみるのは行き過ぎか。(み)

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