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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年12月16日付け

 「日系人だけで固まれば活動はだんだん縮小するけど、ブラジル人も仲間に入れて日本文化を好きなもの同士が集まればどんどん広がる」。これは北パラナのロンドリーナ市で活動するグルッポ・サンセイの代表、城間ミチさん(46、三世)の言葉だ。日本の流行歌謡曲にあわせて、非日系の若者らが大半を占める数千人が、パラパラのように同じ振り付けで一斉に踊る「マツリダンス」で有名な団体だ▼盆踊りをマツリダンスという形に洗練させてブラジル人に広めているという意味で、名前の通り新世代を象徴する活動だと痛感する。その活動の原点であるカラオケ教室が25周年を迎えたことを記念し、20日晩に同市のマリスタ劇場で公演が行われる▼変化するだけでなく「原点を忘れないようにマツリダンスの前には必ず20分でもいいから盆踊りをやる」「振り付けには必ず盆踊りの伝統的な振りを入れる」という約束事を決めている▼北海道でYOSAKOIソーランが始まった時、「ソーラン節のメロディを入れる」「よさこいの鳴子を持つ」という二つだけ決め、あとは若者たちが自由に変えられるようにした結果、日本全国に愛好者が生まれる大きな動きに成長した。それを彷彿とさせる▼思えば、ブラジルで解釈し直された日本文化〃日系文化〃が続々と生まれている。日本にはない手巻き寿司専門店テマケリア、カンポ・グランデ市の郷土料理ソバ(沖縄ソバ)、日本庭園の中の鳥居、カラオケダンス(人が歌うカラオケに合わせて社交ダンスを踊る)など▼いつの日か、これらが欧米の日本文化愛好者にも広まることを想像するのも楽しい。 (深)

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