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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月31日付け

 文協、県連、援協の口座に寄せられた東日本大震災への義捐金が29日正午の段階で、80万レアルに達した。ブラジル政府の義捐金を超えたわけだが、振込み回数は県連が3200と文協(900)、援協(300)を大きく引き離した▼実際の数はもっと多いはずだ。県連を通さず直接県に送る県人会もあるからだ。家族、友人がいる古里、国に対する思いを示すものといえる。一方、「日伯を繋ぐ窓口」をその存在意義においてきた文協の数がそのわずか3割弱というのはどういうことだろう▼多くのメディアの取材を受けながら、ブラジル人の心に響くアピールはあったのか。テレビカメラの前で「支援キャンペーンの実施」を公言したが、さて実際は? 在聖総領事館に出したお見舞い状、口座の開設、追悼法要くらいだろうか▼国内外に注目される慈善イベントをやっていれば、義捐金の金額は跳ね上がったはずだ。日本に対しても100周年で訴えてきた遠くて近い日系社会の存在感を示す好機でもあったわけだが、完全に逃したといってもいい▼今月発行された文協の機関誌『文協ニュース』が興味深い。大見出しに「GESTAO DE SUCESSO」とある。成功の運営とでも訳すのか、何をもって成功とするのか。評議員選挙を意識した特別号。体制維持のためには血道を上げるのに、だ▼はっきり言えることは、約半世紀にわたり日本から文化的、経済的恩恵を受けてきた文協は、何も積極的な活動を打ち出さなかったということだ。発生から10日も経たない今月20日、木多喜八郎会長は一日かけてノロエステの総会に出席。この感覚には全く驚くほかない。(剛)

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