樹海

 「あれだけマスコミがペトロブラス問題を報じても、文化人や富裕層を含めてジウマが支持率を持ち返している。貧富の差と関係なく、有権者は汚職を投票の判断基準にしない」。フォーリャ紙コラムニストのルイス・ポンデーは22日、そうTVで断言した。4年前もメンサロン裁判真っただ中でジウマが勝ち、今回もペトロブラス疑惑の中で支持を回復している▼決選投票に入った時、「互いの政権時の汚職を持ち出して泥仕合になり、白票と棄権が大幅に増える」と予測する識者がいた。今のところ世論調査でその現象は現れていないが、真相は開票するまでは分からない▼一次投票において北東伯でPTが優勢だった結果に対し、カルドーゾ元大統領は「北東伯民には情報が行き届いていない」とコメントし、暗に「貧困階級は認識不足、ペトロブラス汚職が知れ渡れば支持率は下がる」と予測したが、現実はポンデー分析の通りだ▼今回の政見放送やコマーシャルの政敵攻撃たるや、見るに耐えない中傷的な内容まであり、マスコミは「史上まれにみる醜い選挙」と評す。だが、攻撃されて言い返さなかったマリナがまっさきに支持率を下げ、その矛先がアエシオに向いた今、互角の言い合いをこなして支持率を拮抗させている。それらの現象から透けて見えるのは「言い返さないような人物は支持しない」という国民性だ▼汚職を評価基準にせず、言い返さない人物は支持しないという国民性が今の政界を支えているらしい。冒頭のポンデーは「汚職政治家は安全な遠い場所に横領した大金を隠している。5年ぐらいで刑務所から出てきても、残りの人生は安穏だ」と捨て台詞を吐いた。(深)

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