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大耳小耳

ニッケイ新聞 2011年6月1日付け

 俳誌「朝蔭」発行の傍ら690ページ余の大著「ブラジル歳時記」を編纂した佐藤牛童子さんが亡くなった。「朝蔭」の発行は夫人の寿和さんが引き継ぎ、念腹忌俳句大会も続けていくという。自身50年来の念腹門下という寿和さんによれば、牛童子さんは米寿の頃から寿和さんに選句の指導を始め、当初は厳しかった指導も最近では穏やかになっていたそうだ。日頃から、長ければ数十年という俳句を通じた縁(ホ句縁)の絆の強さに触れ、「みなに支えられてここまで来られた」と話していたという。見舞いの人に対しても笑顔で感謝の言葉を伝えていたと寿和さんは振り返っていた。
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 日本の法務省が先ごろ、3月の出入国管理統計を発表した。訪日就労ブラジル人がもつ「永住者」「定住者」など4種のビザで同月出国した人は、入国者の1962人をはるかに上回る5470人。東日本大震災を受けて多くの在日ブラジル人が帰伯したと見られていたが、統計によって裏付けられた格好だ。デカセギの大きな転機となった08年のリーマン・ショックから3年が過ぎても、昨年内は出国が入国を大きく上回る状態が続いていた。それが今年に入り、1月には入国者数(3389人)が出国者数(2888人)を超え、翌2月も出入国の差はわずか150人まで戻していた。回復の兆しともとれる状況だっただけに残念だ。その後も日本の製造業不況を受けて出国は続いているかもしれない。

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