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創立30周年公演をMASPで=ブラジル筝曲宮城会=土台作った谷師範も来伯=6月5日=本紙ビル地下「珈琲」でミニ演奏会も

ニッケイ新聞 2011年6月2日付け

 ブラジル筝曲宮城会(長瀬令子会長)は創立30周年記念・東日本大震災復興支援公演『第23回筝曲演奏会』を5日午前11時から、サンパウロ美術館(MASP)大講堂(Av. Paulista, 1758)で開く。国際交流基金、邦楽協会、尺八琴古流の後援。収益は全て日本総領事館を通して寄付される。入場料20レアル。ブラジルでは珍しい17弦箏の演奏が聴ける。日本からも筝曲家の谷真沙重師範ら3人が応援に駆けつけている。

 同会は夫の駐在で来伯した谷師範が76年に宮城会として活動を開始。カンポ・リンポの日本人学校での演奏会を皮切りに、リオ、サルバドール、ベレン、バイーア、ブラジリアと各地で公演を開催した。
 谷師範が帰国した81年、現会長の長瀬氏、杉尾宣柄氏、宮城会創始者の宮城道雄氏から教えを受けた小倉祐子氏が創立会員となり、ブラジル支部を正式に設立した。
 来伯当時は箏も少なく、ブラジルで作られた箏を使っていたという。 「合板製で音色も落ちる。爪も自分たちで作ったので、よく指が痛みました」と長瀬会長は創立当時を振り返る。
 とても満足とは言えない環境だったが、筝への情熱を失うことなく、サンパウロで指導を続け、日本文化普及に尽力してきた。
 現在会員は30人。演奏会を行うたび各地に愛好者が増えているようで、「特に非日系の参加希望が目立ち、音に惚れて始める人が多いようです」と長瀬会長は解説する。
 同会で学び、ブラジル人初となる筝曲作曲家フェルナンド・ネベスさんが2年前から日本の宮城会家元で稽古を積んでいることも紹介する。
 「さらに人の交流を増やし、日本伝統の文化をブラジルに広めていたい」と30周年を機にさらなる展望も描く。
 今演奏会では、350年前の曲「六段の調べ」から2001年の曲「有明の海」と幅広い時代の曲が演奏される。筝を中心に三弦(三味線)や尺八も演奏に加わり、伝統的な邦楽の音色を奏でる。
 谷師範は、「ブラジルで皆とまた演奏できて嬉しい。これから本番までみっちり練習したい」と意気込みを語る。
 長瀬会長は、「創始者の宮城道雄の作品を集めました。ぜひ聴きにきて下さい」と来場を呼びかけた。
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 本公演に先駆けてミニコンサートを3日に弊社ビル地下一階の喫茶店「珈琲」(Rua da Gloria, 326)で開催する。本公演では演奏しない『涙そうそう』や『千鳥』が演奏される。
 お問い合わせは宮城会(11・3289・3303)まで。

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