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コロニア芸能祭=大盛況! 3千人が声援送る=グ・フィナーレで大団円

ニッケイ新聞 2011年7月2日付け

 今年で第46回目を迎えた『コロニア芸能祭』が、25、26両日に文協大講堂で開催され、それぞれ54、61団体、計310人が出演した。 両日あわせ約3千人が来場、昼を迎える頃にはほぼ満席の賑わいを見せた。藤間流日本舞踊学校、花柳流なでしこ会など、日本舞踊グループに加え、ブラジル琉球舞踊協会など琉球舞踊も5団体が出演。他にも民謡、詩吟に和太鼓、尺八奏者のシェン・リベイロさんも演奏を披露した。

 出演回数は20回を超えるという丹下セツ子さん率いる和太鼓グループは、例年のごとく貫禄の舞台を見せた。劇「居酒屋作兵衛」では芸能委員会副委員長の井上久弘氏が女形を熱演、「とてもいい舞台になりました」と本人も満足気に語る。 日本伝統芸能のみならず、カラオケや健康体操という一風変わった演目も会場を盛り上げ、艶やかなタンゴやルメンも舞台に華を飾った。
 「ずっと来たかった」という江口百三子さん(74、サン・ジョゼ・ドス・カンポ市)は、「洋舞は初めて見た。振り付けで物語を表すところが良かった」と顔をほころばせた。
 子供たちも大奮闘。みか幼稚園の園児たちが、大人顔負けの堂々たる和太鼓の演奏を見せた。
 幼いながらも立派にポーズを決め、「エイヤ」と掛け声をかけるかわいらしい姿に、会場から大歓声が上がっていた。
 丹下セツ子太鼓グループも今回15人の子どもが参加した。丹下さんは、「太鼓は年齢、人種に関わらず良さが伝わりやすい。これからも消えずに伸びて行ってほしい」と語っていた。
 盆踊りで観客も客席の周りに円を描き、会場が一体となる場面も。
 藤間芳之丞さんが企画したグランド・フィナーレが豪華絢爛にイベントの最後を飾り、来場者らは満足気な表情を浮かべ、会場を後にした。

非日系人にも門戸開く

 舞台、客席ともに非日系人の参加が印象的だった今回の芸能祭。歌謡曲「昴」に合わせ、扇を手に舞踊を踊った藤間流の1グループは、踊り手3人の内2人が非日系だ。同団体には、3人の非日系名取がいるという。
 舞台に出演したパウロ・ペンドラミンさん(62)は、「小さい頃に、日本人の友達からひらがなやカタカナを教わった。それがきっかけで日本文化に興味を持った」と言う。舞踊を嗜んで8年。他にも生花、茶の湯などにも親しむ。
 「日本が好きで」と言葉少なに語るヘナン・フェルナンデスさん(26)は、卒業後すぐ寿司職人になり、今はパウリスタの店で働いている。
 リーダーの高井勲さんは、「仕事の傍ら舞踊の練習に励む2人を、とても誇りに思っている」と嬉しそうに話した。
 同祭の頃末アンドレ実行委員長は、「最近、非日系の参加が増えている」とその傾向を喜び、「非日系が演じる剣舞や沖縄太鼓などは観客にも人気。しかし出演者だけではなく、非日系が代表を担う団体もある」と話す。今回出演したブラジル日本音楽協会では、非日系のダニロ・トミックさんが代表を務める。
 子育てが終わって詩舞を始め、初舞台を終えた細井真由美さん(62、サンパウロ州ジュンジャイ市)は、「昔は舞踊なんていうと笑われたもの。ブラジル人が日本文化に興味を持つようになるなんて、思いもしなかった」と、時代の変化を振り返った。

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