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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年8月12日付け

 爆弾テロと銃乱射で76人もの市民を殺害したノルウェーの事件の容疑者は、犯行声明の中で日本を「理想」として賛美していると『週刊新潮』8月4日号で読んだ。いわく「〃81年から02年まで305人の難民しか受け入れていない〃日本を、〃単一民族の思想を保ち、欧米の多文化主義に反対する〃理想の社会としてたびたび登場させ、韓国とともに〃モデルとすべき国〃と賞賛」しているという▼日本のテレビドラマや映画のDVDを当地で見ながら、いつも気になっていることがある。日本の番組を見ている自分は、日本の常識に頭を切り替えてテレビの前に座っている。これは普段ブラジル社会やコロニアで生活している精神状態とは別物だ▼日本の番組はほぼ日本人ばかり。我々が日常生活で多少なりとも考え込まざるをえない宗教の差異、異文化対立、多言語の理解困難、人種問題、貧富格差などが主題になることはまずない。予定調和的な、世界が日本人だけでできているかのような、甘い緩い雰囲気で充満している▼そんな番組を見ていると日本人としての自分は安心するが、当地在住者としては世界から孤立している気分になる。本当の問題から目をそらして、日本限定の状況が全てだと思いたくなる。日本人が確信犯的にそうしているなら、それはそれで良い。でも無意識に目をそらすのなら精神的〃鎖国〃はまだ続いているのか——と容疑者の一言から考えさせられた▼ちなみに彼はブラジルを移民受入国として批判し、「精神鑑定するなら日本人の医者に」といっているとか。それなら日本の厳しい刑務所に服役してもらい、その感想を聞いてみたいものだ。(深)

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