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長崎県人会=前会計横領問題に進展=会の主張、一審で認める=今井、中野両被告は控訴

ニッケイ新聞 2011年9月6日付け

 在伯長崎県人会(川添博会長)は今月1日に開いた記者会見で、08年末に発覚した今井千兼子元会計理事による横領問題に関し、今年の5月に判決が出たことを明らかにした。裁判所は、支出金の領収書など県人会に返却すべき書類を48時間以内に提出することを命じたが、同氏と中野恵市氏(当時の会長、すでに除名)はこれを不服として控訴、第二審に持ち込まれることになった。

 県人会は、今井氏が会計理事だった06〜07年度支出金分の領収書など会計書類の返却を求め、昨年4月に訴えを起こしていた。偽造された会計事務所への支払い証明書や貸借対照表も添付した。
 今井前会計理事が個人的な支出に使った疑いがある金額は、銀行カード、小切手、ATM(現金自動預け払い機)の記録から約3万レに上る。中野元会長は、口座をネット操作できる手続きにサインした疑い。
 「県人会の言い分が正しく、書類を提出する責任がある」という判決を、ジャバクアラ第3地方裁が下したのが約1年後の今年5月。
 これに対し、被告側は控訴。県人会側は、それを認めないと主張、州高等裁による第二審判決を待っている状態だ。
 損害賠償の裁判を起こすには至っておらず、横領された金額の返却を含めた全面解決には時間がかかると見られる。
 「明細を見れば、不正な使い込みをしたのは明らか。会側に不利な判決が出ることは無いはず」と力を込める川添会長は、「何度も話し合いを重ねたが、埒が空かなかった。提訴もやむを得ないというのは会員の総意」と静かに語る。
 会員に裁判の進捗を伝え、母県にも4カ月に一度報告書を提出しているという。
 また、ジャバクアラの会館をレストランや事務所として貸し出すことで、「逼迫していた経営状態は何とか持ち直している」。
 今年2月の総会で、来年9月に創立50周年記念式典を行うことを決定した。
 母県に赴き、知事にもこの件を報告するなど理解を求めている川添会長は、「広く一般の県民にも来てもらって、民間の交流も図りたい」と話しているが、そのためには本件の早期解決が急がれそうだ。

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