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パダリアで寿司が大流行!?=『St.Etienne』が大胆戦略=市内3店舗で寿司バー設置=「ピザより注文多い」

ニッケイ新聞 2011年9月7日付け

 サンパウロ市に3店舗を構える創業20年の『St.Etienne』がブラジルで初めて、パダリアとして寿司バーを導入、大成功を収めている。「食事時には、ピザやサンドイッチの注文より寿司が多いんですよ」と手応えを話すのは、マーケティング部長のデイビス・タデウさん(48)。サンパウロ市内のシュラスカリアの数を日本食店が抜いて久しいが、パウリスタの寿司好きは留まるところを知らないようだ。

 1990年にエジソン・リコさん(44)が創業したブラジル最大級で24時間営業するパダリア。欧米式パンの生産、ホテル式朝食ブッフェの導入など、常に業界の先頭を行く存在としても知られる。
 「常に市場調査を実施、いち早く市場の要望に応えるよう努めています」とタデウさん。パンと寿司という別世界をつなげた仕掛け人だ。
 ただアイデアは単純なものだった。「人々は毎日パンを買いに来る。広く受け入れられている日本食を提供すれば喜ばれると思った」
 日本食の大ファンのエジソンさんも乗り気になり、10年1月、試験的にジャルジンス店で寿司バーを設置したところ、予想を遥かに超える反響があった。
 同年11月にアルト・デ・ピニェイロス店に導入、近々ビラ・マダレナでも始めることで全店舗での提供となる。
 30種類以上のメニューのある寿司目当てに訪れる客も増えたという。「昼のブッフェでピザがなくても文句を言わないのに、寿司が切れると怒り出すお客さんがいるんですよ」
 パンを作るだけでなく、魚の仕入れも店の日課になった。常に新鮮なネタをケースに並べ、現在2店舗で毎月約3千キロの鮭を消費する。
 寿司バーの営業時間は、午前11時〜午前6時。「技術向上のため、10人の職人に定期講習会を受けさせています。質は専門の寿司屋に負けません」と胸を張る。
 ベジタリアン向けに乾燥トマトやキュウリなど野菜を使った寿司や、深夜12時〜朝5時までは、手巻きを2つ頼めば1つは無料にするサービスも。
 数々の工夫が功を奏し客が増える一方、時には2倍に跳ね上がる不安定な魚の価格に頭を悩ますこともあるというタデウさんだが、「利潤を減らして調整し、1年間値段を変えずにやってきた。これからも研究してメニューも増やしていきます」と笑顔で語った。
     ◎
 年中無休。所在はジャルジンス店(Al. Joaquim Eugenio de Lima, 1417)、アルト・デ・ピニェイロス店(Av. Diogenes Ribeiro de Lima, 2555)。HP(www.santaetienne.com.br)からも確認できる。

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