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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年9月10日付け

 NYの高層ビルが一瞬のうちに崩壊し、3千人が死に追いやられた「9・11テロ」は、21世紀の歴史に深く刻まれ、後世の人々に語り継がれるに違いない。旅客機を4機もハイジャックし、乗客もろとも「武器」として巨大なビルに突撃する「テロ」は、前代未聞であり、アメリカはもとより世界の国々の人が驚愕した▼イスラム過激派アルカイダ(アラビア語で基地の意味)の犯行であり、米国防省も標的にされ、4機目はホワイトハウスか国会議事堂を攻撃する予定らしかったが、墜落し炎上した。このテロ作戦の巧みさには唯々驚くしかない。実行犯のリーダー、モハメドらは、イスラムの聖戦の士であり、死をも恐れず20名の戦士らは全員が死亡している▼それにしても、4機を乗っ取り「武器とする」の突飛で緻密な戦術は凄いに尽きるが、これには諜報作戦や航空機操縦という高い技術も欠かせない。将に21世紀型犯罪の典型だが、アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン殺害も最新兵器の功績が大きい。米海軍の特殊部隊(SEALS)24名と海兵隊員20名が、奇襲に使ったステルスヘリは、レーダー回避技術を採用し、飛行時の音や熱を抑える装置もある米軍の「秘密兵器」である▼勿論、この暗殺や「9・11」の決め手となったのは諜報戦争であった。あの身の毛がよだつような惨事から10年が過ぎたが、アルカイダには2代目のザワヒリが就任しているし、過激派タリバンからの「報復」宣言もあり—テロの危機はなお続く。明日、NYで開かれる慰霊祭にはオバマ氏とブッシュ前大統領も臨席する。(遯)

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