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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年9月13日付け

 「二百十日」や「二百二十日」は、台風の襲来する頃であり、昔から農民を始めみんなが「今年は小さな風や雨を」と祈り続けてきた。日本列島には火山帯が走り、噴火もあるし関東大震災のような地震や東日本大震災のような惨事も多い。「地震大国」の異名もあり津波の被害も数え切れない。そして—今は紀伊半島豪雨(台風12号)で死者が57人・行方不明者50数人と平成になってから最悪の被害になっている▼東北の三陸海岸と福島の地震と津波は2万人近い犠牲者を出し、完全復興までには莫大な資金が必要だし、原発事故は、日本のエネルギー政策にも大きな影響を与えている。政府もこの解決に全力投球しているが、そんなところへの台風禍であり、被災者もだが、現地での救済活動もあり、和歌山や奈良の知事も陣頭に立ち、自衛隊も活躍している▼だが、罹災者には失礼ながら—皇太子(今上陛下)と正田美智子さんがご成婚した昭和34年の伊勢湾台風の悲劇に比べれば、今の大雨の災禍はまだまだ小さい。名古屋と三重県を軸にした歴史的な猛台風は75キロの超スピードで突き抜け、人も家をも吹き飛ばした。あれは9月21日から27日に掛けての悲劇であり、海の高潮で堤防は決壊し巨大なラワン材が海に溢れ災害の輪を無限に広げていった▼明治以後最大の台風とされ、死者は4697名、行方不明401名、負傷者38921名という大惨事だった。このように日本は昔から「災害王国」なのであり、数千年もの間—自然の猛威と闘いながら生きてきたのをきちんと牢記したい。(遯)

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