ホーム | 日系社会ニュース | マナウスなどで診察調査=今年も慶大医学部研修生

マナウスなどで診察調査=今年も慶大医学部研修生

ニッケイ新聞 2011年9月15日付け

 慶應義塾大学医学部国際医学研究会(IMA)の第34次派遣団(金井隆典団長)の学生3人が7月17日に来伯し、マナウス、リオ、フォルタレーザ各都市で研修を兼ねた診察と調査を行った。8月16日に都築伸佳さん(23、愛知)、中小路絢子さん(24、東京)、五十嵐郁巳さん(23、静岡)が本紙を訪れ、これまで行ってきた研修の成果を報告した。
 マナウスでは州社会福祉局の巡回診療船に乗船し、毎日150人以上に内科検診を行った。「視力の調査が研修の目的です」と話すのは内科を志望している都築さん。視力検査後にマナウス市から眼鏡が数百本送られてくることに驚いていた。
 「データの整理で疲れている時に見たアマゾン川に沈む夕日が忘れられません」と外科医を志す五十嵐さん。睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングが研修課題だ。「症状があっても病気と気付かない人も多い。まだまだ認知されていないですね」。
 中小路さんはフォルタレーザでの健康診断が課題。「ブラジルでは健康診断という概念が浸透していない」と現状を語る。「継続してその人のデータを記録することで初めて意味があるものなので根付いてほしい」と期待を込める。また「日本と異なるのが、私立と公立病院の医療の差や医療保険の形態。制度面を考えるきっかけになった」と振り返った。
 都築さんは、医療現場に立ち会って、「検査機器こそ充実していないものの、医者には患者との会話から病を見つけ、治すという誇りがあり、本来あるべき形を見た」と感心していた。
 最終学年で国家試験を控えている3人は帰国後受験勉強に打ち込む。金井団長は、「資金集めや広報を自ら行う本事業はなかなか出来ない経験。医者になってどの道へ進んでも役立つはず」と前途を労った。
 派遣団はボリビアで睡眠時無呼吸症候群など生活習慣病に関する啓発や調査を行い、9月2日に帰国した。

image_print