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援協Dr南の=病は気から!?=第7回

ニッケイ新聞 2011年10月4日付け

 今まで心が病気を引き起こすことが焦点でしたが、今度は心が病気を治すことができるかについて少しお話します。当然ではありますが、病気の進行度によります。
 もし、身体病がかなり進行している状態、解剖的に臓器、組織(Orgao e Tecido)にダメージ(Lesao anatomica)を与え、元に戻せない状況であれば全回復は不可能です。
 例として本態性高血圧症を考えてみましょう。初期に発見し初治療で血脈が完全無傷な状態、また、器官も組織が有機体的に無傷の段階であれば精神療法の効果はあります。しかし、この病症を進行させ、心臓などの冠状動脈を狭くし、胸痛まで引き起こす段階でしたら、精神治療法の効果はないということです。
 精神療法以外どのような心の状態が健康を助けるのでしょう。前回のことを繰り返すことになりますが催眠学、精神弛緩、習慣的感性の良いバランス、良い自己敬愛、ボランテイア、心の理解、心構え等が大変効果をもたらすと考える人が多くいます。
 それは、このような行動は、免疫組織の助手のように化学物質を放出する作用に働きかけるからです。
 それでは、ある人が精神身体症に悩まされているのかどうか分かる方法はあるでしょうか?
 次の例で答えになるかわかりませんがお話しいたします。
 多くの人は風邪が治らない、治ってもすぐぶり返す状態が長々と続くのと、憂鬱症が同時期に発生している場合がよくあります。それは、精神症、憂鬱症が免疫力を低下させたと考えさせられるのです。誰かの死亡、離婚等の家庭問題が影響し長引く病気、学生の試験中の下痢等日常様々あります。
 この記事を書いた理由は、精神医学者、心理学者としてではなく、ただの一般内科医、医師を職業としている老ザルとして、私の長年の医師の経験から、胃炎、胃潰瘍、筋収縮性頭痛、めまい、迷路障害(めまい)、高血圧等の終わりなき病気の行列を見続けてきました。
 そして、その殆どが、精神障害について無知な私にさえ心の異常が大きな原因の一つだということが分かってきました。
 今時の西洋医学はだんだんと、肘、顎、手、首等のように細かい部分で専門化していく傾向で精身体病(Doencas Pisicossomaticas)は、後方に置き去りにされています。(つづく)

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