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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年10月18日付け

 三寒四温は冬の季語ながら、最近の日々は3日寒く、4日暖かい。こう冷気が強いと炬燵が恋しくなり、暖炉があれば天国だろうな—と帰宅しての楽しみは、冷えた身を熱めの風呂に入るのが1番。湯上りの一盞には、湯豆腐などの鍋がいいだろうし、あの熱々を汁に浸して啜る口福は、何物も敵わない。サンパウロにも、あんこう(鮟鱇)がいる。だから—茨城の海岸沿いの名物にすれば極楽なのだが、眞に残念ながら—鍋にするのは、ちょいと難しい▼一見すると、とてもグロテスクなので—とても口にするものとは思われないが、海の底深くに棲むこの怪魚?は水分が多いために下ごしらえも、顎に紐を通してぶら下げての「吊るし切り」にする。この魚には捨てるところがなく、鍋には、どうしても肝が欠かせない。ところが、ここではこの肝心な美味を取り去ってしまうのだから—冬の味覚である鍋にはとてものほどに遠い▼日本では「西のフグ」に「東のあんこう」とされるほどに常陸の国のは旨い。昔から、一つの食卓を囲みながらの歓談はなんとも楽しく談論風発するとされるが、ここは会席料理とかよりも、ざっくばらんな鍋のような方が気楽でいい。今は「あんこう」もかなり高くなり、庶民の味ではなくなったらしいが、鱈のちり鍋でもいいではないか▼歓談には食事を共にするのが最適と先述したが、オバマ氏も李明博大統領をワシントンの韓国料理店に誘い、プルコギを食べ、クリントン国務長官はビビンバと大いに韓国の味を楽しみ格式ばらない素直な懇談に耽ったというのはなんともかざりっけがなくいい話ではないか。(遯)

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