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USP日文研=日本学習機材整備が完了=草の根資金で最新設備に=「研究発展に大きな一歩」

ニッケイ新聞 2011年11月15日付け

 昨年度の日本政府「草の根文化無償資金協力」を得て、サンパウロ総合大学(USP)日本文化研究所で実施されてきた「日本語学習機材整備計画」がこのほど完了し、供与式が10日午後、新しく完成した同所のマルチメディア教室で開かれた。

 本計画は、教員らの支援を行う「サンパウロ大学支援財団」の要請を受けたもので、昨年11月、在聖総領事館で契約署名式が行われ、1年以内で完成にこぎつけた。草の根からは5万8千413レアルが供与され、宮坂国人財団から8700レアルが補填された。
 供与式には大部一秋総領事、同財団のアントニオ・マルコス・デ・アギーラ・マソーラ専務理事、USP哲学・文学・人文科学学部部長代理で同学部のシルビオ・ギマランエス・オルタ東洋文学科副学科長、松尾治・宮坂国人財団副理事長らが出席した。実施責任者の森幸一USP日本文化研究所所長、同所の教員、生徒らも立ち会い、ともに完成を祝った。
 改修されたマルチメディア教室には、プロジェクター、スクリーン各2台、DVDレコーダー、操作用のコンピューター、40人の机と椅子が完備された。 森所長は、完成にあたって日本政府、宮坂財団の支援に謝意を示し、「ブラジルでの日本文化の研究がさらに発展することを確信している」と挨拶した。
 同研究所は60年代後半にUSP哲学・文学・人間科学部内に設置された。現在は日系人のみならず、非日系の学生、日本語学習者の数も増えている。しかし、同研究所の視聴覚教室は70年代に設置されて以降そのままで、最新式の機材設置が望まれていた。
 供与式に出席した同研究所の女性教員は、「授業が格段に充実します」と喜びを語った。森所長は「ようやく完成して良かった」と安堵した様子で、「研究はインフラがないと進まない。この研究所内にこういった教室ができたことで、セミナー等など色々なイベントが実現しやすくなります」と話し、研究の活性化に意欲を見せた。

記念連続セミナーを実施

 なおこのマルチメディア教室完成を記念し、今月から連続セミナーを実施するとして、同所では広く一般の参加を呼びかけている。今後は月に1度のペースで、このようなプロジェクトを行う考えだ。
 今月17日午前10時から、京都精華大学の佐藤守弘准教授が「夏目漱石の訃報にある写真、筆跡、記録」と題して講演を行う。ポ語通訳付き。
 来月15日は午後2時から、USPがデカセギに関するプロジェクトを共同で行う予定の「首都大学東京」(東京都八王子市)から、社会学教室の丹野清人准教授が「在日ブラジル人の状況と問題—サンパウロ大学との共同研究に向けて」と題して講演を行う予定。ポ語通訳付き。
 会場はいずれも同所マルチメディア教室(Sala Multimidia, 1o. andar, Casa da Cultura Japonesa)。住所=Av. Prof. Lineu Prestes, 159, Cidade Universitaria、電話=11・3091・2426。

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