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コラム「一石」=70年目のハッピーエンディング

ニッケイ新聞 2011年12月3日付け

 【北米報知11月16日】12月は日米開戦70年目にあたる。当時の日系人部隊に議会名誉黄金勲章が授与されたのを機に、また関連行事が多く企画されるだろう。
 ベテランズデーの週末、二世復員軍人会(NVC)と同財団による関連行事に顔を出した。あいにくの天候もあり、建物外にある記念壁を見る人はいないが、議会名誉黄金勲章を授与された直後だけに施設内は日系関係者の暖かい笑顔に包まれていた。
 当日の様子がビデオで流された後、勲章受章に至るまでの3年の流れが説明され、式典前後数日の様子、メダル製作の過程などが紹介される。勲章メダルは1つのみで、スミソニアン博物館に展示される。関係者には複製が贈られた。
 今回は33名の日系人部隊所属者を含め、ワシントン州から家族関係者多数が授与式へ向かった。式典出席者が勲章への思いや印象を改めて振り返る。
 命を賭して戦ったことに感謝する人々が会場、空港で声をかけてくるたび、当時を思い起こし言葉を詰まらせるシゲル・モモダさん(第442連隊戦闘団)。
 「受章もメダルも私には恐れ多いこと。この受章は命を懸けて戦った戦友によってもたらされたものです」(トッシュ・オカモトさん、第442連隊戦闘団)。
 「素晴らしい旅になりました。一生忘れることはないでしょう」(ジョージ・イワサキさん、第442連隊戦闘団)。
 「いろいろな出来事がありましたが、我々の二世たちの勲章が今回のハイライトです。誇りに思います」(ルイーズ・カシノさん)
 最後にマイクを持った財団のデビー・カシノ会長のコメントが印象深い。
 「大円団。70年を語る上で『ハッピーエンディング』を迎えることができました」
 オカモトさんが持参した勲章メダルの複製を手に取ってみた。70年の重み。「ハッピーエンディング」という言葉に逆に救われた思いがした。(佐々木 志峰)

日系人部隊とは

 【ニッケイ新聞編集部による注釈】コラム「一石」に出てくる「日系人部隊」の正式名称は「第442連隊戦闘団」という。
 この部隊は第2次世界大戦中のアメリカ合衆国陸軍において日系アメリカ二世のみで編成された。敵性国民である日本移民の子孫が米国への忠誠心を試す場だったともいわれており、日本人な勇敢さを発揮して欧州戦線での米軍の窮地を救い、連合国軍に勝利をもたらす活躍をした。
 その激闘振りは314%という死傷率、のべ死者数が9486人という数字が雄弁に物語っている。この功績に対して、アメリカ合衆国の歴史上、この部隊に対してもっとも多くの勲章が授与された。

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