第9回=南米各国で存在感示す=沖縄県系が約7割は普通

ニッケイ新聞 2011年12月8日付け

 「ぺルーの日系団体で一番大きいのは沖縄県人会、でも全体を統括しているのはペルー日系人協会です」。首都リマで旅行社を経営する玉城ルイスさん(76、二世)は、そう語り、全日系人口は8万〜10万人でウチナーンチュはその7割を占めると補足した。
 世界のウチナーンチュ大会の参加者数に関しては、第4回大会には400〜500人参加していたので、今回はそれより若干少ないという。
 「第4回大会までは一世が多かったが、今回は非常に少ないのが特徴。あと他府県人が20%ぐらい来ている。二、三世にも沖縄ブームが起きており、日本語は出来ないが一度は沖縄に見にきたいという人がこの機会に来ている。そして大会に来てみな感動している」
 日系の国会議員は何人も出ているが、「2期務めたのは私だけだ」と胸を張って琉球新報10月9日付けに談話が掲載されているのは、松田サムエルさん(70、与那城町系二世)だ。96年12月に首都リマで起きたセンデロ・ルミノソによる日本大使公邸占拠事件の時、解決までの126日間、最後の人質3人の一人だった人物だ。フジモリ大統領の側近として知られ拘束され続けた。
 同紙に「これまでの人生で一番困難で恐ろしい出来事だった。今でも時々思い出し、身震いすることがある」とコメントを寄せている。
 それもそのはず、政治家になったのは92年に同大統領支持母体である「カンビオ90」から出馬して初当選している。00年にフジモリ政権が終わった際、国会議員を辞任した経緯がある。激動のペルー史のど真ん中を生きてきた人物といえそうだ。
 ブラジルでも沖縄県系の政治家は数多いが、これはほかの国にも共通する傾向のようだ。
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 今回、新ウチナー民間大使に就任したボリビア沖縄県人会の宮城和男会長(62)によれば、ボリビア国内の日系人は約1万6千人で、沖縄県系人は同地全日系の6割を占めるという。日系社会全体を統括するのはボリビア日系協会連合会(FENABOJA)だ。
 宮城会長は、同国の現状と課題を次のように話す。コロニア・オキナワ(約890人)などの「移住地なら日系社会は残るが、都市部に出た人は、どんどんボリビア社会に溶け込んでいく。そういう次世代をどう引き止めるかが、これからの課題です。町に出た世代は、よっぽど努力しないとウチナー気質は維持できない。ブラジルは県人会85周年をあれだけ盛大に祝った。ブラジルに見習うべきことは多い」と見ている。
 最後に「文化継承にマニュアルはない。どんな偉い大学の先生にも分からない。次世代への対応は試行錯誤の連続です。強い次世代を育てるためには、各国それぞれの県人会が、子孫に強制するのではなく、自然にアイデンティティを受け継いでもらうような風にするしかない」と眉間にしわを寄せた。
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 世界には40万人もの沖縄県系子孫がおり、ブラジルにはその3分の1が住んでいる。そんなにいても、世界の日系250万人の6割、150万人がブラジルに集中しているため、当国の沖縄県系人の比率は1割に過ぎない。
 ただし、南米全体でみれば亜国、ペルー、ボリビアのようにその比率は6〜7割と高く、大半の国で過半数を占め、大きな存在感を示している。逆に言えば、ブラジルの日系社会は世界の中でも特殊な存在なのだ。
 日本の人口においてはわずか1%を占めるに過ぎない沖縄県だが、世界においては比率が逆転し、県系人は各国日系社会の過半数、もしくは最大派閥となっている。この大会の目的は、そのような海外における最大派閥「世界のウチナーンチュ」との絆を強めことといえる。(深沢正雪記者、つづく)

写真=宮城和男ボリビア県人会長

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