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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年1月5日付け

 雨が続いた年末年始だった。ずぶぬれでビールを飲み、パウリスタ大通りで新年を祝うブラジル人とはどうも血の成分から違う。当方、肌寒さに半日早い日本の正月を思いつつ大晦日を迎えた▼早速フェイラへ。何はともあれ目指すはブリである。幼少の頃から親戚回りで各家の照り焼きを食べ比べるのが何よりの楽しみ。余りの高さに目が飛び出そうになったが、アメリカから土産も持たず来伯した気の利かない親戚に「これは縁起のいい魚。来年出世するから」と日本文化を教える代わりにドル支援を願った▼捌かずそのまま購入。やはり1本下げて帰ることで気分の高揚も図りたいし「ローマ人の物語」で知られるイタリア在住の作家、塩野七生が文藝春秋の巻頭エッセイで「自分で魚を捌けるようになる」ことを新年の目標に挙げているのを読み、土佐で求めた打刃物を眠らせていることを思い出したからだ。新年に硯もいいが、年末の砥石も捨てがたい▼ブリの語源は、アブラが転化したものらしい。しかしこれは期待すまい。日本の寒い「師」走にアブラが乗る「魚」だから「鰤」なのだ。実際、刺身はヅケの方が旨かった。包丁を手に格闘中、知人から電話が。「年越しソバに入れるネギを…」と忙しそうな風なので「こちらはブリを…」と返すと「…格が違いますな」と恨めしそうに電話を切った。年の最後に優越感に浸れたのは余得だった▼カマと頭をいつ食べようかと悩むことから始まった2012年。ブリ一匹に大童では出世は来世に期待だが、捌いた出刃にあやかり高知で呼ばれるブリの稚魚、モジャッコの気分で1年を乗り切りたい。(剛)

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