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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年2月4日付け

 雪があまり降らないところでは、さらさと降る雪片を櫻の花が散るような綺麗さに喩えることが多い。だが、日本海沿岸の豪雪の村や町では山のように積る白銀の世界に怯えすら抱く。越後塩沢の文人・鈴木牧之は「幾丈の雪を視れば何の楽しきことかある」と「北越雪譜」に書く。屋根の雪掻きや背丈を上回る雪との闘いと雪国は千辛万苦なのである▼今年の北半球は雪が多い。露や欧州も160人もの凍死が陸続し、日本でも屋根に上がって雪を掻いていた老人らが50数人も草葉へと追いやられた。この豪雪はペルー沖のラニーニャの影響だと気象庁は発表し、このため強い寒気が流入し1月の積雪が観測史上最大を記録したそうだ。さる2日には青森市の酸ヵ湯の最大積雪は435センチだから凄い▼ラジュームを含む天然記念物「北投石」を産出し、ガンの罹患者に人気がある秋田の玉川温泉では雪崩があり湯治客3人が死亡した。また長野県でも100メートル近い鉄骨の橋が雪の重みで真っ二つに折れるなど雪の被害は広がる。先には東北向けの新幹線も運行停止、自動車が500台も渋滞し大騒ぎにも▼気象庁では、来週も寒波が襲来するかも—と警告しているが、あの「平成18年豪雪」では150人死亡したが、今年はあんな悲劇がないようにと祈りたい。そして—津軽の女性がもんぺ姿で藁沓を穿き毛布を三角に折ったような物を頭からすっぽりとかぶり吹雪の中を進むあの情景と一篇の風物詩を心に描き楽しみたい。これは南国暮しの「冬景色賛歌」と諌められそうだけれども、苦しいからこそ極楽の夢を見たいのである。(遯)

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