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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年2月16日付け

 今回のサンパウロ市長選挙でジョゼ・セーラ氏(PSDB)が〃台風の目〃だとは昨年後半から言われていた。年初の時点で一部マスコミはセーラ氏「出馬確実」と報じ、その直ぐ後に本人から「出ない」と公式発表があり、これで状勢は固まったかに見えたが、14日付け2面にある通り「出馬」宣言となり状況は一気に流動化し始めた▼彼が出るか、出ないかで構図は大きく変わる。サンパウロ市長選挙ではサンパウロ州に強いPSDBと、国政を抑えたPTの二大勢力がしのぎを削る▼カサビ市長(PSD)からすればセーラ氏は大恩人だ。セーラ氏が市長職を途中で辞めてサンパウロ州知事選挙に出馬したからこそ、無名の副市長だったカサビ氏に市長の椅子が回ってきた▼セーラ氏が選挙にでるのならカサビ氏はPSDBに協力するが、出ないのならPTと組みたいのが本音と言われる。だからセーラ氏「不出馬」宣言の後、カサビ市長からルス駅周辺の土地をルーラ研究所に無償提供するとのPTへのご機嫌取り発言まで出た。国政を仕切っているのはPTであり、国家からの交付金は連立党の方が融通されやすい現状がある▼PSDBからすれば、連立関係のDEMから分離したのがカサビ新党PSDだ。国政に関して万年野党の干された状態に耐え切れなくなった一派が、サンパウロ市選挙を叩き台にして、2年後の大統領選挙に向けてPTとの距離を仕切りなおそうとして発足した▼2年前の大統領選でもセーラ氏の出馬決断が遅れて選挙体勢作りが後手に回り、結果的にジウマ候補に有利に働いたとの話も聞いた。今回はどうなるか。それにしても右も左もない世界だ。今さらボヤいてもしょうがないか。(深)

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