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3月1日にいよいよ発効=日伯社会保障協定とは?=最終回=【手続き編】=どこでどう申請するのか=5年以前の年金は時効に

ニッケイ新聞 2012年3月2日付け

 派遣先国の年金制度加入の免除や年金の給付は、自動的には行われないため、所定の手続きが必要となる。
     ◎
■一時派遣者の手続き(日本)
 日本の事業所が年金事務所に「適用証明書」交付の申請を行い、交付を受ける。一時派遣者はそれを受け取り、ブラジルの勤務先に提出し、その写しがINSSに提出される。
 「適用証明書」の申請書は日本年金機構のウェブサイトから入手でき、事業所の全国法人台帳番号(CNPJ)を記入、被用者、自営業者に随伴する配偶者および子どもがいる場合、その情報を適用証明書裏面に記載することが必要。
■一時派遣者の手続き(ブラジル)
 ブラジルの事業所がINSSに適用証明書の交付を申請し、INSSはブラジルの事業所を通じて一時派遣者に適用証明書を交付。一時派遣者は日本の事業所に適用証明書を提出し、事業所を管轄する年金事務所に必要に応じて提出される。
■年金受給手続き(日本)
 日本で年金を受給するには、受給できる年齢になった時点以後、年金担当窓口に裁定請求書、必要書類を提出することが必要だ。
 支給は受給権発生日の翌月分から開始され、原則として年に6回(偶数月)、1回につき2カ月分が支給される。
 年金の支払いの時効は5年。5年を超えて申請した場合、5年以上前の年金は時効により支給されない。
 協定発効前は、日本の年金申請は日本の年金担当窓口へ、ブラジルの年金申請はブラジルの年金担当窓口(INSS)で行なう必要があったが、協定発効後はINSSで日本の年金申請、日本の年金担当窓口でブラジルの年金申請が可能となる。
 日本の年金加入期間のみでは受給資格要件を満たせず、ブラジルの年金加入期間を通算する日本居住者が日本の年金を請求するには、まず日本の年金裁定請求書、ブラジルの年金加入期間申立書を、年金事務所か年金相談センターに提出し、日本年金機構本部(以下年金機構)は申請者のブラジルの年金加入期間をINSSに問い合わせ、INSSは確認の上、年金機構に報告。年金機構は裁定結果を申請者に通知するという流れだ。
 ブラジルの年金加入期間がある日本居住者がブラジルの年金を請求するには、申請者は年金事務所か年金相談センターにブラジルの年金申請書を提出し、年金機構がINSSに申請者の日本の年金加入期間を報告、INSSは申請者にブラジルの年金の裁定結果を直接通知する。
■年金受給手続き(ブラジル)
 日本の年金加入期間のみでは受給資格要件を満たせず、ブラジルの年金加入期間を通算するブラジル居住者が日本の年金を請求するには、申請者は「国民年金・厚生年金保険裁定請求書」をINSSに提出。INSSは年金機構に送付し、申請者のブラジル年金加入期間を報告、年金機構は日本の年金の裁定結果を申請者に直接通知する。
 ブラジルの加入期間のみでは受給資格要件を満たさず、日本の年金加入期間を通算するブラジル居住者がブラジルの年金を請求するには、申請者はブラジルの年金申請書、日本の保険期間確認申請書(INSSのHPまたは出先機関で入手可)をINSSに提出し、年金機構に送付され年金機構は申請者の日本の年金加入期間をINSSに報告、INSSはブラジルの年金の裁定結果を申請者に通知する。(終わり、田中詩穂記者)

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