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両親がホピ・ハリ提訴へ=西村ユカリさん死亡事故=他の人にも起こるかも=母「永遠に閉園望む」

ニッケイ新聞 2012年3月3日付け

 サンパウロ州ヴェニ—ドの遊園地「ホピ・ハリ」の人気遊具「エッフェル塔」から落下して死亡した西村ユカリ・ガブリエラさん(享年14)の両親、西村アルマンド、シウマラさん夫妻が2日午後、サンパウロ市のアデマール・ゴメス弁護士事務所で記者会見を開いた。母シウマラさんが落下直後に駆けつけると、すでにユカリさんは息をしていなかったが、「目を覚ましてほしいと一心に祈った。一瞬起き上がろうとしているようだった」と生々しく語った。静岡県磐田市在住のデカセギ一家に起きた悲劇に、ブラジル中のメディアが注目している。

 冒頭、ゴメス弁護士は会見で「無益で恥ずべき捜査」と警察を批判。「被害者は隅の席に座っており、4人で並んで座っていた。隅の席が空いていたという遊園地側の証言は虚偽だった」と主張した。
 伯字紙の報道によれば、ユカリさんが座っていたのは10年間使用されていなかった座席だった。にもかかわらず開放され、先月29日に警察に出頭した従業員2人は、事故の15分前に上司に座席の欠陥について報告したものの、「無視していいという指示だった」と証言したという。
 「機械の欠陥と人的ミスの両方があった。使用してはいけない座席だと、従業員らは知っていた」とし、「これは事故ではなく意図的な殺人だ」と声を荒げた。
 夫妻は「ホピ・ハリ」を相手に300万レ、また、「営業許可を与えた市内の施設がきちんと運営されているかどうかを管理する責任があった」としてヴェニ—ド市を相手どって100万レの損害賠償を請求する。シウマラさんは「他の人にも起こりうる事故。訴えないわけにはいかない」と強調した。
 シウマラさんは会見で、ユカリさんと従姉妹は遊園地が開いてすぐに走って入り、夫妻が「エッフェル塔」に着いたときは、すでに2人は嬉しそうに座席に座っていたという。2人の横の座席に座った夫妻は、ガブリエラさんが座った座席には「使用禁止などという指示書きは一切なかったし、従業員は誰も安全を確認しなかった」と強調した。
 日本でも複数の遊園地に行ったという一家。シウマラさんは、「どこでも、時間がかかってもきちんと一つ一つの座席を確認してから作動させていた。ホピ・ハリでは座ってからすぐに動き出した」と不信感をあらわにし、「これはホピ・ハリだけか、それともブラジル全土の遊園地がそうなのかをききたい」と厳しい表情で記者団に問いかけた。
 2日付フォーリャ紙になどによれば、「ホピ・ハリ」は捜査のために少なくとも今月15日まで閉鎖される。なかでも「エッフェル塔」は、しかるべき改善が見られるまでは無期限で閉鎖されるという。

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