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ビザ委託、未だ始まらず=意見聴取会から1カ月…=JBACからは返答なし=領事館が22日に説明会

ニッケイ新聞 2012年3月17日付け

 在聖総領事館が査証発給を株式会社「JBAC」に委託、2月22日から業務を開始するとしていたが、日系旅行代理店を招いた意見聴取会(同月17日)で強い反発を受け、見合わせる状態が続いている(3月3日付詳報)。質問メールを送った本紙に対し、本件を担当する野村和久領事は「本庁との間で意見を調整中。私個人の意見で混乱を招いても困るので、回答を控えたい」とし、正式な返答を先延ばしにする状態が続いている。一方、16日時点でJBAC社は「質問には本社が回答することになっているが、まだ連絡がない」と話している。しかし、業務開始予定日からほぼ1カ月——。当事者らが説明できない状況に関係者からは疑問の声が上がっている。

 「JBACに初めから委託が決まっていたのでは」——。日系旅行社が〃出来レース〃を疑った公募方法について、野村領事は「その事実は全くない」「応募した5社の中から公正に選定した」とコメント(3月3日付け)し、「公募の仕方やそれにかかる期限は、全て外務省で規定されていて、それに則って実施した」とだけ付け加えた。
 同省規定の公示方法は通常、サイト、官報、庁舎外の掲示板の三つ。在外公館の場合はサイトのみを使用し、昨年10月21日に「査証発給業務における代理申請機関に関する企画競争の実施」として公示された。
 11月3日の説明会が公募開始と誤解し、短期間しか入札準備期間がなかったと考えている旅行社がいるが、実際には10月21日にこの件の公示がされ、1カ月余り後の11月28日が入札の締め切りだった。野村領事は「関心のある企業は公示の仕方を知っていて、毎日サイトをチェックする。それも企業戦略の一つ」という。
 11月3日の説明会で行われた公募の説明は口頭だけの簡便なもので、正式なものとは感じられなかったとの代理店側の疑問に対し「あの説明会の趣旨は、あの件の公募を伝えるためではなく、システム変更や申請料の発生を伝えるものだった」とし、公募中と通知したのは総領事館側の配慮だったという。
 「総領事館から歩いて10分の場所に、200平米以上の広さの事業所を確保などの条件は、短期間に準備するには厳しすぎる」との代理店関係者の疑問には、「『要件定義書』というのは、あくまでこちら側からの希望や要望で、絶対条件ではない。企画競争に慣れている企業は分かっていること」と反論する。
 なお、この原稿の締め切り直前の16日午後、「今月22日に邦字紙に対して説明会を開く」との連絡が入った。
 本紙から3週間前に出した質問項目「全伯で、在聖総領事館管内だけ査証料金が2倍以上になるのは不公平ではないのか」「ビザ料金が高すぎないか」「JBACは総領事館の職員同様にきちんと対応できるのか」「パスポートなど書類運搬中の事故の場合は誰が責任を取るのか」「JBACの個人情報の管理体制は総領事館同様に完璧なのか」などの質問に対し、その時に返答があるようだ。

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