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ブラジルいけ花協会=初の非日系会長が誕生=エリソン・シンプソンさん=「不安だが頑張りたい」=創立半世紀、10月に合同展も

ニッケイ新聞 2012年4月10日付け

 「役立てるかどうか分かりませんが、皆さんに教えてもらいながら頑張りたい」—。「ブラジルいけ花協会」(13支部、150会員)は今年1月に総会を開き、エリソン・シンプソン・デ・リマ・ジュニオールさん(53)を新会長に選出した。1962年の創立以来、非日系会長は初。半世紀の節目の年を迎えることから10月25〜27日に文協ビルで『合同展』も開催する。 

 レシーフェ生まれ。育ったリオで見た展示会でその魅力に取りつかれ、16歳でいけ花を始めた。サンパウロで大学に通いながら「華道山月流」で研鑽を深めた。
 79年〜81年、日本で本格的に学んだ。熱海、京都、岐阜を中心に華道や日本語を勉強、茶道をはじめ様々な文化に触れた。当時はポ語の解説書などもなく、言葉の理解に苦労したという。
 「華道の専門的な言葉は辞書にもないし、普通の日本人に聞いても分からない。大変でした。日本で学んだ一番大事なことは自然に対する尊敬。頭じゃ分かっても生活してみないと体や心で理解できないと思う」
 1年目は花見で食事をしたり酒を飲むことの意味も分からなかった。「次の年はもちろん行きましたけどね」と笑う。
 実は、訪日前には技術者になろうと大学で学んでいたが、帰国後は美術を学んだという。「日本に行く前と後で人生が全く変わった」
 以降、後進の指導にあたってきた。華道に魅せられて37年、ブラジルでいけ花を普及する団体のトップに。しかし態度は謙虚だ。
 「選挙で選ばれたときはビックリした。不安だけど感謝している。特に今年は50周年という大事な年。年配の皆さんに教えてもらいながら、しっかりやりたい」と表情を引き締める。 
 2年の任期中には、サイトの立ち上げや研修会のさらなる実施、イベントなどを通した普及活動に力を入れる考えだ。
 「池坊に始まる華道は今年で550年。ブラジルの歴史よりも長い。この意味を考え、伝えることはこの国の発展にも繋がるはず」と意気込む。
 92〜93、00〜11年に会長を務めた田中エミリアさん(83)は「一生懸命やる人。益々盛り上げて欲しい。私たちも全力で支えるつもりです」とエールを送った。

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