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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年4月13日付け

 昨年のギリシア、イタリアの債務危機がスペインに飛び火しそうな勢いだ。通常のユーロ圏では国債利回りは3%程度だが、スペインのは6%近くまで上がった。国債の利回りは信用が高い国ほど安く、信用がない国ほど国債価格が安くなり、高い利子をつけないと売れない。6%ではユーロ危機再本格化を疑う声は多くないが、危険水準にはあるようだ▼気になるのは、この流れの中でスペインのサンタンデール銀行の株価も下がったことだ。数年前の同国バブル時の不動産投資が焦げ付いたとも報道されている▼ブラジルの同行には旧南米銀行の日系口座がそのまま引き継がれており、対岸の火事とばかり安穏としていられない。万が一、スペイン本社に何かあった場合、多少なりとも影響は免れないと指摘する金融専門家もいる▼県人会など日系団体の一部には、複数の銀行に預け入れる割合を変えるなど、万が一を想定した対策を講じているところもあると聞く。今まで行事支援を受け、同行に恩のある団体も多い。あまり過剰な反応をしない方が得策か▼連邦政府はブラジル銀行、連邦貯蓄銀行の金利を政治的に下げ、他の民間銀行も後へ続くように誘導している。欧米経済が不安定なうちは、経済成長は内需拡大頼みであり、最低賃金を上げてIPI減税しただけでは足りないとみて、金利を安くして国民が借りやすい環境を作り、もっと消費させようとの目論見だ▼ただし銀行としては貸し倒れ率が上がっており、それを利子に含めると上げざるを得ない。政治的に金利を下げると経営が不安定になりやすいことは否定できない。たかだか国内の口座だが、世界経済を考えさせられる。(深)

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