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■記者の眼■かみ合わない会員と理事=手際の悪い進行に疑問の声

ニッケイ新聞 2012年4月20日付け

 会員1万3千人以上を抱える日系最大の巨大組織、援協の評議員会と臨時総会があのような手際の悪い議事進行でいいのか。出席者の多くが、そんな感想を抱いたかのようにみえた。
 例えば14日の評議員会の中心議題である定款改正案では、「改正委員が約1年かけて議論してきた」ものにも関わらず、委員の一人は当日、「こういう点も問題だから改正したほうがいい」などと提案する場面もあった。「1年間の議論の間に言わないで、なぜ今?」との疑問が湧く。
 評議員会が終わったのが午前11時過ぎだったため、臨時総会は30分遅れの午前11時半から始まった。評議員会とは違う出席者にもかかわらず、議長の菊地会長は「評議員会で委員の下本八郎氏から詳しい説明があった」として詳細な説明を避けようとした。
 それに対し、正会員から「何の説明も受けずに判断できるわけがない。時間が守られず待たされ、理由の説明や謝罪もない。最高の決定機関にもかかわらず、これでは何のための総会かわからない」と怒りの声が飛んだ。結局、杉本教雄・定款改正委員長がポ語で全項目を読み上げた。
 改正項目の一つには、評議員の選挙に関する項目も含まれていた。会員の一人から「選挙方法が定款に書かれていないので、それを追加すべきでは」との意見があった時、なぜか菊地会長はそれに対する答えではなく、選挙に立候補するための条件の説明を繰り返し、かみ合わない議事進行になった。
 他にも、改正案の日本語訳のあいまいさから総会開催は年に1回なのか2回なのかという単純な疑問も出た。「現定款では評議員は〃非公開〃選挙で選出されるとあるがそれではおかしい。無記名投票ではないのか」との翻訳の間違いも指摘された。
 不備を指摘する意見、再考を促す声もたくさん出されたが、その議論が十分行われないまま、結局は委員会が作った案がそのまま承認された。出席した正会員の中には「評議員会がスムーズに進まず時間が押したことで、臨時総会を早く終わらせようとしているのでは」との疑問を抱いた人もいたような運営だった。
 様々な局面で役員同士の意思疎通の悪さ、執行部の会員への姿勢のまずさ、ツメの甘さなどが露呈した結果となった。大組織にふさわしい円滑な議事進行が求められる。(詩)

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