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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2012年5月29日付け

 「入って11年目で、娘が殺されたんですよ」。ボリビアのサンファン移住地に住む田島健児さんは、「あるぜんちな丸第12航」の同船者会で記者にこともなげにそう言った。注意していなければ聞き流しそうになったほどの、実にあっさりとした言い方だった。
 40年を経た今、夫妻から悲壮感は感じられず、全てを受け入れたかのような静けさが漂っていた。
 二度と戻りたくない—。そう思ってもおかしくない因縁の地に、事業にうまくいかなかったとはいえ、再び戻った夫妻。一体どんな心境だったのだろうか。
 ただ、移住地に増えつつあるボリビア人との問題が小さいものではないことも、彼の言葉の端々から伺えた。悲しみは乗り越えられても、不信感のようなものは一生消えない。それと闘い続けているのだろう—。(詩)

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