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ラジオ体操第30回大会=百周年機に非日系へ普及=「精神衛生上も良い」=高齢社会化時代に適応

ニッケイ新聞 2012年6月23日付け

 今年創立34周年を迎えたブラジルラジオ体操連盟(青木正男会長)主催の第30回記念大会が17日午前、青空の下、サンパウロ市のチエテ環境公園で開催された。遠隔地からの出席も得て約800人が参加して一斉に身体を動かした。百周年頃から非日系人の参加が増えたというラジオ体操の最近の動きを聞いた。

 奥ソロのプレジデンテ・ベンセスラウ(サンパウロ市から約620キロ)から参加した浜田満栄さん(みちえ、84、二世)は「ラジオ体操歴30年。体操しているから歳とらない」と豪快に笑った。
 参加者800人中、8割は女性、非日系は1割強。ラジオ体操の音楽以外はほぼ全てポ語で司会進行された。全員が白いユニフォームで整然とならび、リズミカルに同期した動きをする集団は珍しく、公園内を歩くブラジル人が興味深そうに立ち止まる姿がみられた。
 安倍順二下議は「ブラジル社会は高齢者が激増し、健康に老いるための工夫が重要になっている。モジではラジオ体操は軍警や工場でも取り入れられている」と挨拶で有益性を強調した。西本エリオ、羽藤ジョージ両サンパウロ州議、太田慶子下議も開会式に出席し、連邦議会からの顕彰プレートが青木会長に手渡された。
 全員でラジオ体操をした後、フォークダンス、最後に全員で5重の巨大な輪を作って炭坑節を踊り、植田徳良(とくよし)副会長の閉幕の言葉で締めくくられた。
 リベルダーデ支部の鹿又信一(かのまた・のぶかず)会長(77、東京)は「素晴らしい天気に恵まれてよかった。一日中、家の中でNHKを見ているのは健康によくない。身体を動かし、みんなと挨拶して世間話すれば一日が爽やか」と効能を強調した。
 会員は約4千人で、サンパウロ州を中心に45支部ある。小野祥子副会長(さちこ、76、鹿児島)によれば「大半が二、三世世代だが平均年齢は80歳前後。ただし非日系人中心の支部はセントロだけで14ビスなど8つあり、最近増えてきた」と説明する。ブラスやルス公園は韓国移民が多い。
 パウリスタ大通りにあるトリアノンMASP支部の非日系エジッチ・カマルゴ・デ・アルメイダさん(54)は4年前から参加。「以前から週3回程度やる体操がやりたかったし、実際に始めてから身体の調子がとてもいい。毎朝顔を合わせるのも精神衛生上とても良い習慣だと感心した」と絶賛する。毎朝15人ほど、ほぼ非日系人で運営される。「同じ公園内に中国の太極拳グループがあり、ライバル関係なの」と笑った。
 アクリマソン支部に所属するイタリア生まれの一世、フランカ・ベベル・ピンシナトさん(62)はイタリア系三世の夫オリバウドさん(69)と一緒に参加。「もう5年目で毎朝よ。息子は日系二世と結婚したから日系の孫がいるわ」と微笑んだ。
 取材した非日系の大半は百周年の前後から参加を始めており、一般社会で大きな注目を浴びた成果がラジオ体操にも現れているようだ。

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