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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年7月17日付け

 今年もまた「日本祭り」がやってきた。故郷の「お袋の味」を若い三世や四世にも伝えたいの願いを込めブラジルへの和食を紹介したいと網野弥太郎さんが始めたものだが、まさか—これほどに大きな祭典になるとは、思いもよらなかったに違いない。なにしろ20万人もの入場者とかだから凄い。もっとも、これは県連の発表だから、少しは引き算が必要かも知れないが▼この「食べ物」を中心とする祭典は今回が15回目だそうだが、各県人会ともお婆ちゃんまでが出陣しての陣頭指揮であり、生まれ育った田舎の美味の仕上げに余念がない。秋田の「きりたんぽ」を始め京都の「みたらし団子」などは、サンパウロのような大都会に暮らす人々の舌にはちょっと難しい。こんな田舎料理には、どうしてもお袋さんらが包丁を手にして俎板の前に立たないと、あの味が生まれない▼と、今年も沢山のご馳走を楽しんだが、物産展示会とでも呼ぶべき会場の充実しているのは、今更ながら驚く。三菱が電気自動車の「MiEV」を出展し注目され、電気自転車もあったし、総領事館のロボットにはブラジル人らもびっくり仰天である。鹿児島県人会の「蚤の市」には、蔵出し物とも申すべき珍品が多く、久方ぶりの眼福だった▼それにリンゴの里で知られるサンジョアキン農協のワインもあり、コンクール金賞のロゼを求め試飲したが、ちょっと渋みがあり香りが素晴らしい。この他にもとても魅力的な店がいっぱいあり、真面目に観ていると聊か疲れるけれども、あそこはもっともっと皆さんに親しまれていいし、来年もまた大いに楽しみたい。(遯)

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