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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年8月1日付け

 ロンドン五輪では31日正午時点でブラジルメダル3個中の二つを柔道がもたらした。当地の過去の金メダル数を数えると21個中の三つが柔道だ。銀は26個中の三つ、石井千秋選手がブラジル柔道初のメダル(ミュンヘン五輪)をもたらした銅は、今では47個中11を数える。五輪には全26競技あるが、柔道だけで計17個ものメダルを取り、全94個中の18%もの比重を占める▼不思議なのは、移民が伝えた相撲、剣道、空手、卓球など幾多のスポーツの中で、なぜか柔道が一番普及していることだ。その秘密をいつか解説してもらいたい▼ブラジル人が初メダルを獲得したのは1920年のアントワープ(ベルギー)五輪の時だ。ブラジル史初の五輪参加で種目は射撃。しかも航海途中で肝心の銃を盗まれてしまい、同情した米国選手団からもらった銃で金と銅をモノにするという快挙をなしとげた。ブラジル人のエスペルトさはこの時から冴えていたようだ。なおこの時に男子テニスで日本は初メダルの獲得を果たした▼日系の初メダルは52年ヘルシンキ五輪の水泳自由形の岡本哲男だ。シエロ選手の活躍が期待される当国水泳界だが、それが初メダルだった▼今五輪のサッカーでは1次リーグD組2戦で、日本代表が1—0でモロッコを下してベスト8進出を決めた。後半終了間際の39分にFW永井謙佑選手が決勝ゴール決めたが、彼は親の仕事の関係でミナス州イパチンガで幼少期(3〜8歳)を過ごしており、そこでサッカーを覚えたという。きっとウジミナスの関係だろう。百年の日本移民史ゆえに〃世界の五輪〃の色々な場面で絡んでくるのが楽しい。(深)

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