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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年9月4日付け

 近頃は珍妙で奇妙奇天烈な物が次々に現れ、科学に弱い向きは、ただただ呆然自失し世を眺めている。その昔—コメ作りは大変な苦労であり、一粒のコメには88回も手間が掛かっていると教わった。確かに代掻きや田植え、草取りは辛く苦しい。それが今や機械化され、草取りまでもロボットだから—これはもうびっくりである▼先の「日本祭り」では三菱の電気自動車に人気集中したが、あの会社の社長さんは通勤に毎日使っているそうだし、もう実用の時代に入っている。ロボットの開発も進み、歩行ロボットや海底7千メートルに潜行し活動できる優れものもいる。その昔、ある財界首脳が語った「無人工場」も決して夢ではない▼飛行機も太陽光発電で飛ぶ。先だってはスイスからモロッコまでの830キロを19時間かけて飛行したし、英国では無人ながら82時間37分の世界記録を樹立している。これだって近い将来にはサンパウロの空を飛び交うに違いない。今や「脱原発」の声しきりだが、こんな危なっかしいものではなく、安全無比な「波力発電」の研究も進んでいる▼日本にも実験的な施設があるし、ポルトガルも波力発電所を操業したのだが、資金的な問題があり停止中なのは残念に尽きる。東京も、この波や海流を活用した発電には意欲を持ち近く発電施設を建設するそうだし、近く「海の電気」が都民の家に明るく灯り街灯も煌煌と輝く。と、夢のような話が次々に起こり、やっぱり科学は進歩しているのかな—と思考停止中の頭脳でいろいろなことを考え込んでいる次第です。(遯)

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