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コラム 樹海

 「借金」話である。ひところ地下鉄の電車の車内のいたるところにポスター広告が出ていた。年金受領者にお金を貸します、である。五十回払いというのもあった。これは、借りたお金を四年と二カ月間、返済し続けなければならないということ。計算に強い人によれば、これほど、返し続けると借りた元金の三倍にはなる▼貸した側(銀行)は、年金の元を押さえる(年金の受領を任される。そういう契約になる)ので、回収のしはぐれがない。もし借りる人が、受領額いっぱい借りたとすれば、返している間、年金は受け取れない▼日本人移民は「移民百年」の歴史のなかで、総じて借金をしなかったといっていい。ただ、ひところ、「バタテイロという人たち」がおり、バタタ栽培に際して、おおむね多額の借金をしたらしい。借金をしても〃一発当てれば〃借金を返して、なお釣りが来て、料亭などで札束をひらひらさせることができた。もちろん、ひらひらさせない人も多かった▼近年では、セラード開発への参加がブームとなり、サンパウロ州、パラナ州で堅実に営農していた農業者も駆けつけた。借金こそしないが、自身の「堅実営農分」を売り払った人もいて、損害を被ったはずである▼従来からの営農分の半分を確保しておいて参加した人は、セラードで失敗しても戻る土地.畑地があった▼ともあれ、例外はあるが、借金をしないようにつとめるのが日本人である。いまどき年金担保で借りる人はいないと思われるのだが。(神)

05/11/30

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